神の毒

「……惜しいですね……」

パキィィィンッ!!

「「『!?』」」

が、加頭がそう言った瞬間、右腕を拘束していた“チェーンバインド”が硝子のように砕け散り、

パキィィィンッ!!

自由になった右腕で和也の“ドラゴナイトクリティカルストライク”に触れた瞬間、“ドラゴナイトクリティカルストライク”も硝子のように砕け散る。

「まさか……幻想殺し!?」

「いいえ。これは『第九世界』で大道克己とニーベンルングの皇帝との戦いで一度右腕を失った私にDr.パトリックが新たに取り付けてくれた義腕の機能によるもの。『エネルギーを打ち消す』という意味では同じですがね。」パキィィィン

その一部始終を見てそう困惑の声を上げる分身に対し、加頭はそう言いながら義腕で他の箇所にかけられた“チェーンバインド”を打ち消す。

「「くっ!!」」

「さて、お人形遊びは終わりにしましょうか。」カチッ!!

『ルナ!!』

エナジーアイテムで未だに姿を消している和也は場所を悟られないように距離を取りながら移動し、分身はレイとガシャコンブレイカーを構え直すなか、加頭はそう言いながらルナメモリを取り出し、起動させる。

『ルナ!マキシマムドライブ!!』

カァァァ……シュルルルルルッ!!

加頭がルナメモリをヒドラセーバーのスロットに挿入した瞬間、ヒドラセーバーの赤黒い光刃は二つに割きながら伸び、鞭のようにしなやかになる。

「フッ!!」

シュルルルルルルルルルッ!!

パシィィィンッ×2!!

「「!?」」

次の瞬間、二つに割かれた光刃は加頭の意思に従って伸び、分身と、未だに姿と音を消している筈の和也に絡みつき、拘束する。

(なっ!?分身はともかくエナジーアイテムと『沈黙』で姿と音を消している筈の俺のことも捕捉しているだと!!?)

「先ずは一つの『的』に絞らせてもらうとしますか。」

シュルルルルルルルルルッ!ドカァァァンッ!!

「「ぐはっ!?」」

和也がそう思いながら困惑するなか、加頭はそう言いながら二人の和也をぶつけ合わせるように光刃の鞭を引き寄せ、

「フッ!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドォォォンッ!!

「「!?」」

右掌から赤黒い光弾を十数弾、放ってくる。

ズガガガガガガガガガガガガガガガァァァンッ!!

加頭が放った十数弾の赤黒い光弾は全弾命中し、辺りが土煙に包まれる。

ズバァァァンッ!!

が、次の瞬間、土煙の中から強力な炎の斬撃……和也の得意魔法である“ハイフレイムスラッシュ”が加頭目掛けて放たれる。

「ふむ……」カチッ!!

『ヒート!!』

『ヒート!マキシマムドライブ!!』

「フッ!!」

ズバァァァンッ!!

ズガァァァンッ!!

対する加頭は冷静にヒートメモリの“力”を加えた赤黒い炎の斬撃を放ち、相殺させる。

「なかなかしぶとい……あぁ、そういえば『原初の種』と適合していましたね。あなたは………」

サァァァ……

「はぁ……はぁ……」

『和也さん………』

加頭がそう言うなか、晴れていく土煙の中から分身と『透明化』と『沈黙』が消え、元のアクションゲーマーに戻る程のダメージを受け息を切らすもレイとガシャコンブレイカーを構え、なんとか立ってはいる和也が現れる。

「はぁ……はぁ……しぶてぇのはお互い様だろ。ゾンビ野郎……はぁ……はぁ……」

「あぁ、生憎ですが、今の私は組織に新たに加わったDr.パトリックの『治療』で生まれ変わっているのですよ。NEVER生ける死者から『完璧な超人』にね。」

「ッ……完璧な超人ね………」

(冗談じゃねぇ……超人どころか化け物じゃねぇか………!!)

「なら、今度は俺が『治して』やるよ……てめぇのイカれた頭と身体をな!!」スッ

『マキシマムマイティX!!』

「マックス大変身!!」

『マキシマムガシャット!!』

『ガッチャーンッ!!』

『レベルマーックス!!』

『最大級のパワフルボディ!!ダリラガーン!ダゴズバーン!』

『最大級のパワフルボディ!!』

『マキシマムパワー!エーックスッ!!』

パキィィィンッ!!

次の瞬間、和也はそう言いながらマキシマムゲーマー・レベル99にレベルアップした。

「ふむ……レベル99できましたか………」

『ガシャコンキースラッシャー!!』

『ジャジャ・ジャ・キーン!!』

「さぁ、治療の時間だ!!」

加頭がそう言うなか、和也はレイとガシャコンキースラッシャー・ブレードモードの二刀流で向かっていく。

「ッ………」

(マコトさん………)

そんななか、ノイズの相手をしていたハッピーは学園にいる恋人の身を案じた。
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