神の毒

(あかん……ここにはノイズに決定打を与えられる装者がおらん………!!)

「猿の分際が私の攻撃を回避するとはな………」

「流石は『原初の種』と適合しただけはありますね。古河和也………」

自分達を取り囲んだノイズの大群を見て、はやてが内心で焦るなか、ノイズの間から黒雷を放ったデェムシュ進化体と重力をかけた加頭がそう言いながら現れる。

「!?『Xマジンラー』、加頭順……!!」

「隣にいるのはデェムシュ進化体ってやつか?前にリヒテルから今後の戦いに備えて貰った怪人に関する情報にあった姿とは大分違うようだが………」

デェムシュ進化体と共に現れた加頭の姿を見て、はやてが顔を強張らせながらそう言うなか、和也は隣にいるデェムシュ進化体を見ながら、首を傾げながらそう言う。

「私はあの悪魔と契約を交わし、生まれ変わったのだ。忌まわしき貴様ら、仮面ライダー共を滅ぼし、我が『Xショッカー』を再起させるためにな!!」

そんな和也の言葉に左手を握り締めながらそう言うデェムシュ進化体の姿は今、体色が漆黒に、頭部と両肩の角とマントの色が赤黒く変化し、外骨格も骸骨のように白くなり眼も赤く輝いた、禍々しい姿に変貌していた。

「ッ……ソロモンのことか………!!」

「確か、『Xマジンラー』に協力している魔王だったな……やっぱり、そいつが今回の首謀者か………!!」

「早い話がそういうことになりますね。もっとも、彼にとっては今回のことは『あるもの』を手にするために段階ステージ分けしたゲームのようなものらしいですが……」

デェムシュ進化体の言う『悪魔』に真剣な表情でそう言うはやてと和也に対し、加頭は無表情のままそう言う。

「ゲームやて………!!」

「ふざけやがって………!!」

「さて、お喋りはここまでです。貴方には大道克己の前の肩慣らしに付き合ってもらいますよ、古河和也………」

『クロスドライバー!!』

『ゲーム』という言葉にはやてと和也が怒りを覚えるなか、加頭はそう言いながらアームドライバーとは違う、ワインレッドに暗い緑のラインが入った、ビルドドライバー若しくはエボルドライバーに似た形状のドライバー、『クロスドライバー』を取り出し、装着する。

バックルのスロットの下には二本のチューブが螺旋状に絡み合いながら付き、側面のレバー付近のライトには五芒星が描かれている。

「!?アームドライバーやない……!?」

「諸事情で新調したんですよ。」スッ

クロスドライバーを見ながらそう言うはやてにそう言いながら、加頭は続けて黒に近い紫の円柱の結晶と、その結晶より一回り大きい暗い金の円柱の結晶を取り出す。

『コアヴェノム!』

取り出した後、加頭は黒に近い紫の結晶、『コアヴェノム』を右のスロットに、

『マテリアルユートピア!』

暗い金の結晶……加頭の所持していた『ユートピア理想郷』メモリを元に造り出された『マテリアルユートピア』を左のスロットに装填する。

『クロスフュージョン!!』

承認オーソライズの音声が鳴り響くなか、加頭がレバーを回し始めると五芒星が黒に近い紫、暗い金の順で点滅し始め、下のチューブにはコアヴェノムから黒に近い紫の光が、マテリアルユートピアから暗い金の光が流れ始める。

♪~♪~

禍々しくも莊厳な音楽が鳴り響き、ドライバーから赤黒い血脈が現れ、加頭の全身に拡がる。

『Are you ready?』

「変身。」

『満ちる悪意!』

シュウウウ……ッ!!

ドライバーを中心に闇が現れ、加頭を包み込む。

『闇の理想郷!』

パァァァ……

続けて、彼がかつて変身していたユートピアドーパントの装飾と同じ位置に暗い金の光が灯し始める。

『その名を謳え!』

バァンッ!パキィィィンッ!!

『仮面ライダーヴェノムユートピア!!』

次の瞬間、闇が吹き飛ばされると同時に中から黒に近い紫のライダースーツにユートピアドーパントを彷彿とさせる暗い金の装飾、複眼は血のように赤黒いつり目で口元はクラッシャーになった仮面ライダー……ソロモンから与えられた新たな姿チカラ、『仮面ライダーヴェノム』に変身した加頭が現れた。
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