杯の少女

「………」シュッ!!

「あっ………!」

受け止めた直後、イタチはアインハルトの拳を横に流すことで体制を崩し、

ドカァァァンッ!!

「がはっ!?」

すれ違い様に膝蹴りを食らわせ、蹴り飛ばす。

「アインハルトさんっ!!」ガシッ!!

「くっ……!」

蹴り飛ばされたアインハルトをヴィヴィはすぐさまキャッチしながらイタチから距離を取る。

「………」

(この感じ……まるで私達の動きを知っているかのような動きですね………)

(もしかしたら、私達の試合を見てきた。或いは違う世界の私達を知っているのかもしれません。)

距離を取った後、イタチの動きについて、アインハルトとヴィヴィは念話でそう話をする。

(でしたら、出し惜しみせずにいきましょう!!)

(はい!全力全開です!!)

「……ハッ!!」

パキィィィンッ!!

二人は念話でそう話しながら、アインハルトはスプリームヴァージョンに変わり、

「………」

ヴィヴィは左足を前に出して爪先は正面に向け、右足は後ろに引いて爪先は右に開いて腰を落とし、右手は上に、左手は下に各々平手で構える。

ヴィヴィの雰囲気も先程までとは違うものに変わる。

「!?」

(アインハルトのバリアジャケットの色と形状が変化した!?ヴィヴィオのあの構えは一体………)

二人の変化にイタチは表情を変えずに内心でそう動揺するなか、

「虚刀流……“鏡花水月”!!」

「!?」

ドカァァァンッ!!

ヴィヴィがそう言いながら、どっしりと構えた体制から腰の捻りを加えながら加速。

両の手で掌底を繰り出す。

「くっ!?」

対するイタチはギリギリではあるものの腕をクロスすることで防御する。

が、技の威力を殺しきれずに吹き飛ばされる。

(スピードが上がった!?それに虚刀流?ストライクアーツじゃないのか!?)

「“シャイニングブレード”!!」

ズドドォォォンッ!!

ヴィヴィが繰り出した『虚刀流 鏡花水月』に内心動揺するイタチに対し、今度はアインハルトが突き出した両手から“光のブーメラン”を放つ。

ズガガァァァンッ!!

「ぐっ!?」

アインハルトが放った、元はウルトラマンガイアの技である“シャイニングブレード”はそのままヴィヴィの“鏡花水月”を受けたイタチの両腕に命中する。

ピキ……ッ!!

(くっ……この技も、覇王流じゃない!“力”も魔力とは違う………!?)

ドンッ!!

「捕まえました!!」ガシッ!!

アインハルトの“シャイニングブレード”が追い討ちとなって自身の両腕にヒビが入るのを実感しながら、そう思いながら困惑するイタチの懐に一瞬の隙に入り込んだアインハルトはそう言いながらイタチを捕まえる。

(こっちもスピードとパワーが増している!?)

「はぁぁぁっ!“スプリームリフティング”!!」

「!?」

アインハルトのスピードとパワーも増していることに困惑するイタチに対し、アインハルトはそう言いながら重量投げの要領で持ち上げ、投げ飛ばす。

「………」

投げ飛ばした先ではヴィヴィが先程と同じ構えで待ち構えている。

(くっ……このまま次の技を受けるのはマズいな………)

「……仕方ない………」

そのことに気付いたイタチはそう言いながら瞳を閉じる。

「虚刀流………“野苺”!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

次の瞬間、ヴィヴィはそう言いながら、今度は連続でエルボーを繰り出してくる。

「……写輪眼………!!」

そんななか、そう言いながら再び開いたイタチの瞳は赤く発光し、瞳孔の周りには黒い勾玉が三つ浮かんでいた。
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