杯の少女

数分前、庭内・・・

パァァァ………

「……ここか……ミゼット議長が言っていた高エネルギー反応の発生源でおまえの言う、この先の運命を左右する少女がいるのは………」

「はい。彼女を何がなんでも護らないと………」

数分前、美遊から観測された強大な魔力反応を追って、元の次元の『ミッドチルダ』から次元跳躍で転移した後、そう言うイタチに対し、特別待遇の民間協力者として同行してきた詩音は真剣な表情でそう言う。

因みにイタチは一輝のバリアジャケットとモチーフが同じなのか、黒い死白装のバリアジャケットに、詩音は管理局の制服に身を包んでいる。

(ふむ……見たところ、ここはこの次元のなのはの家の庭か……幾つか見覚えのないものがあるが………)

揺り椅子等を見ながらイタチがそう考えるなか、

ドンッ!!

「!」

「!?」

「はあああぁぁぁっ!!」

物陰からアインハルトがそう言いながら殴りかかってくる。

ドカァァァンッ!!

「!?」

「………」

が、元の次元でもアインハルトと手合わせしたことのあるイタチは片手で難なくとアインハルトの拳を受け止める。

「!?」

(止められた!?アインハルトさんの拳を!!?)

「………」

「くっ!!」

イタチがアインハルトの拳を受け止めるのを物陰から見て、ヴィヴィがそう思いながら困惑するなか、アインハルトはすぐさまバク宙しながら自らの拳を受け止めているイタチの腕目掛けて蹴りを繰り出す。

「ッ……」

対するイタチはすぐさま手を離し、アインハルトの蹴りを回避する。

「ヴィヴィさん!!」

「“アクセルスマッシュ”!!」

「ッ!?」

ドカァァァンッ!!

が、そう言うアインハルトと入れ違いに前に飛び出し、懐に入ることに成功したヴィヴィが“アクセルスマッシュ”を腹に食らわせる。

「イタチさん!!」

「よしっ!!」

その一部始終を見て詩音がそう言うなか、ヴィヴィは確かな手応えを感じながらそう言う。

ボンッ!!

「「!?」」

が、ヴィヴィの“アクセルスマッシュ”を食らったイタチは次の瞬間、丸太に変わり、ヴィヴィの目の前に転がる。

丸太はヴィヴィの“アクセルスマッシュ”の威力の強さを物語るように激しく損傷している。

(まさか……空蝉うつせみって奴!?)

「ヴィヴィさん!」

“アクセルスマッシュ”を食らったイタチが丸太に変わったことに内心そう思いながら動揺するヴィヴィに対し、アインハルトはそう声をかける。

「ッ!!」バッ!!

スタッ!!

「………」

対するヴィヴィがすぐさまその場を離れた直後、上からイタチが降り立ってくる。

「ヴィヴィさん……今度は二人同時にいきましょう……」スッ

「うんっ!!」バッ!!

「詩音……下がってろ………」

「は、はい!!」

アインハルトとヴィヴィがそう話しながら拳を構えるなか、イタチは詩音にそう言いながら前に出る。

「………」スッ

ヴィヴィはイタチとは距離を取りながらアインハルトより前に出て、拳を下に下げて構える。

「………」スッ

対するイタチは自分の顔辺りに掌を翳す。

パァンッ!!

「「!?」」

「………」

すると次の瞬間、イタチが翳した掌から拳がぶつかるような音が響き渡る。

(受け止められた!?)

(ヴィヴィさんのジャブフリッカーを!?)

「くっ!!」

「………」

パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパァンッ!!

ノーヴェと共に鍛えた、距離を取りながら放つ拳、ジャブフリッカーを初見で受け止められたことに動揺しながらもヴィヴィは連続でジャブフリッカーを繰り出す。

が、イタチはその拳をことごとく受け止め、いなしていく。

「くっ……!!」

(尽く受け止められてる……発射点と軌道が読みにくいジャブフリッカーなのに………!!)

(ですが、今はヴィヴィさんの拳に意識が向いている……!!)

その事実にヴィヴィが表情を歪めながらそう思うなか、アインハルトはそう思いながら飛び上がる。

「覇王!“断空拳”!!」

次の瞬間、アインハルトはそう言いながら打ち下ろしによる“断空拳”を食らわせようとする。

パシィンッ!!

「「!?」」

「………」

が、イタチは左手でアインハルトの“断空拳”を受け止めた。
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