杯の少女

「……?何か……?」

「え、え~と……フラン……ちゃん?」

「はい?」

「その……平気……なの?」

「?何がですか?」

「だから……それ……」

響と未来からの問いに首を傾げながら逆に尋ねるフランに対し、スバルはエボルトコーヒーが入ったカップを指差す。

「?至って普通のブラックコーヒーですが?」

『嘘っ!?』

「「マジか!?」」

「一体どういう味覚してるの……」

フランから出た予想外な感想に響達やクリス、龍我がそう困惑の声を上げるなか、ティアナは思わず頭を抱えながらそう言う。

「たまに勝手に淹れてくることあるからあたしも飲むけど……よく二杯目とかいけるね………」

「淹れた本人すら不味いって言っちゃうんだぞ、そのコーヒー………」

レイラと龍我が顔を引きつらせながらそう言うなか、

「!」

「あっ!?」

「おや?」

先程まで捕まっていたエボルトがレイラの手から逃げ、嬉しそうにフランに近寄り大人しくなる。

「羨ましいデェース………」

「でも、このコーヒーは苦い………」

「え~と……そういえば、料理はできたかしら?」

「はっ!?そうだった!サンドイッチをお持ちしました!!」

そんなフランとエボルトの様子を見ながら、切歌と調が羨ましそうにそう言うなか、そう言うマリアにそう答えながら、龍我はフラン、ティアナ、未来、ヴェルザの前にサンドイッチを置いていく。

グゥゥ~………

『………』

「「………」」

その直後、響とスバルのお腹が鳴り、辺りがなんとも言えない空気に包まれる。

「……えへへ………」

「さっきのコーヒーを飲んだからか、余計にお腹が………」

「こいつときたら………」

「スバルったら………」

「おぉーいっ!万丈!!カレーの大盛り四人前とシチュー出来たから持ってってくれ!!」

少し恥ずかしそうにしながらそう言う響とスバルにクリスとティアナがそう言うなか、厨房からそう言う戦兎の声が聞こえてくる。

「あぁ!わかった!!」

「あ。ついでに砂糖とミルクを十三人分、お願いできるかしら?」

「畏まりました!少々お待ちを!!」

「じゃあ、響。先に食べてるね。」

「うん。」

「「「「いただきます。」」」」

十三人分の砂糖とミルクを追加注文するマリアにそう返事しながら龍我が厨房に消えるなか、未来、フラン、ティアナ、ヴェルザの四人はサンドイッチを食べ始める。

「!パンがサクサク………!!」

「このサンドイッチ、パンだけじゃなくてハムも焼いてあって美味しい……」

「野菜も新鮮なのを使ってるのね……シャキシャキしてて美味しいわ………」

「卵もふわふわしてて良いですね。」

「……はい、響。お一口どうぞ。」

「いいの!?未来!」

「うん。」

「ありがとう!いただきます!(パクッ)本当だ!卵の優しい味がして美味しい!!」

「ティア~、ティアのも一口ちょーだい♪」

「はいはい。はい、あーん。」

「あーん………(パクッ)んー!美味しい!!」

「カレー四人前とシチュー、ミルクと砂糖、お持ちしましたぁー。」

響とスバルが未来とティアナからサンドイッチを一口貰うなか、カレー四人前とシチュー、砂糖とミルクをお盆に乗せた龍我がそう言いながら厨房から現れる。

「ありがとう。」

「いえいえ……では、パスタもじきにできますので………」

笑顔でそう言うマリアにそう返事しながら、龍我は厨房に戻っていく。

「それじゃあ………」

「「「「いただきます!!」」」」

「いただきます。」

その後、響、切歌、スバル、霊夢、クリスの五人はカレーやシチューを食べ始める。

「「おぉーいしぃぃっ!!」」

「辛い!でも、美味しいデス!!」

「このカレー、スパイスが更に食欲をそそるわね………」

「シチューも結構美味いな………」

カレーの美味しさに響、スバル、切歌の三人のテンションが上がるなか、霊夢とクリスは味の感想を述べる。

「未来。」

「ティア。」

「「はい、どうぞ♪」」

そんななか、響とスバルがそう言いながらスプーンで掬ったカレーを未来とティアナに差し出す。

「ありがとう、響。」

「まぁ、ありがたくいただくわ。」

対する未来は笑顔で、ティアナは少し恥ずかしそうにそう言いながら一口を貰った。
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