学園前・・・

「はぁ……」

「元気出してください。彩夏さん………」

学園前でため息を吐きながら落ち込む彩夏に対し、ナカムラ夫妻の代理としてきたフェイトは苦笑いしながらそう言って励ます。

「だってさぁ……セッテがあんなに怒ったの初めてだからさぁ………」

「だとしても、ここで行かなかったら余計にセッテは怒ると思いますよ。怖くても、ここは母親として恥ずかしくない態度で、毅然と行きましょう。」

「うぅ………」

「あ。彩夏にフェイトちゃん！！」

「お久………」

「お久しぶりです。二人とも……」

軽く涙目になっている彩夏にフェイトがそう言って励ましているなか、彩夏や一翔達の学生時代からの友人である、アカリの母親であるアカネとジェイの母親であるジェシカ、カインの母親で王妃のアインの三人がそう言って話しかけてくる。

「お久しぶりです。アカネさん。ジェシカさん。アイン王妃……」

「フェイトちゃんは見ない間に大きくなったねぇ～。」

「？……彩夏……どうか…した………？」

「なにやら元気がないようですが……」

「うぅ………」

三人に挨拶を返すフェイトにアカネがそう言うなか、落ち込んでいる彩夏を見て、ジェシカとアインは首を傾げながらそう尋ねる。

「実はーーー」

そんな三人に対し、フェイトは今朝の出来事を説明した。





「ーーーという訳でして……」

「なるほど………」

「母娘（おやこ）喧嘩ですか………」

「ちゃんと仲直りしたいんだけど、こういうことは初めてだからどうしたらいいのかわからなくて………」

フェイトの説明にジェシカとアインがそう言うなか、彩夏は珍しく汐（しお）らしくそう言う。

「大丈夫だよ、彩夏。子を持つ親なら誰でも経験することだから………」

「ですね。これから観にいく参観会で最後まで母親として見守れば、セッテさんも許してくれます。」

「そう……そう………」

「うちもなのはとヴィヴィがたまに喧嘩しますけど、次の日には仲直りできてます。彩夏さんが逃げずにちゃんと向き合えば、セッテもきっと許してくれます。」

「皆……ありがとう………」

そうして四人に支えられながらも彩夏は自分の娘であるセッテの待つ教室へと向かった。