杯の少女

『ミッドチルダ』、アーチャー家・・・

その頃、『ミッドチルダ』にあるアーチャー家にて、美遊にミッドチルダ式、ベルカ式の魔法について、一通り講義したなのははヴィヴィと美遊を連れて中庭に出ていた。

「それじゃあ次は実践なんだけど、まずは魔力運用に慣れる迄は見学しようか。ヴィヴィは実践を見せてあげて。ついでに改善点も指摘するから。」

「はぁーい!」

「よろしくお願いします。」

そうしてヴィヴィは愛機のクリスと共に中庭の中央に立ち、なのはは揺り椅子に座る。

美遊はなのはの隣に立ち、真剣な表情でヴィヴィの様子を見守る。

パァァァ・・・

ヴィヴィの足元に虹色のベルカ式魔法陣が展開される。

「いくよ!クリス!!」

「・・・」ビシッ!!

「セイクリッドハート、セーーットアーーーップ!!」

パァァァ・・・

ヴィヴィがクリスを手に掲げながらそうそう言った瞬間、一人と一機は虹色の魔力光に包まれる。

パキィィィンッ!!

次の瞬間、ヴィヴィの背丈がなのはと同じくらいまで伸び、髪型はサイドテールに変わり、服装も黒いボディスーツに白いジャケットを纏った姿に変わる。

「これがバリアジャケット………」

「そう。ヴィヴィのは少し特殊でセットアップと同時に変身魔法で身体を一時的に大きくしてるの。」

「どうしてですか?」

「ヴィヴィにとってはその方がやり易いからね。まぁ、普段は変身させずに練習させてるけど、今回は見本だから。」

『大人モード』になったヴィヴィについて、美遊にそう解説しながら、なのははヴィヴィにアイコンタクトを送る。

パァァァ・・・ズドォンッ!!

受け取ったヴィヴィはシューターを生成し、中庭にある木に目掛けて撃ち出す。

「今のがシューター。簡単な攻撃魔法だけど、軌道をコントロールできるんだ。」

なのはがそう解説するなか、ヴィヴィは木を軸にシューターをUターンさせ、

バチィィィンッ!!

展開したプロテクションで受け止める。

「今のがプロテクション……ですか………」

「そう。魔力で障壁を作って相手の攻撃を受け止める魔法。種類もバリア系、シールド系、フィールド系の三つがあるの。」

ヴィヴィのプロテクションを見ながらそう言う美遊に対し、なのはは笑顔でそう解説する。

「なのはさん、私も魔法の実践練習がしたいです。」

「わかった。じゃあ、先ずはスフィアの形成からやってみようか。まず自分の魔力に集中して。」

「はい………」

なのはにそう言われた美遊はそう返事しながら、自分の魔力回路に流れる魔力に集中しながら両手を前に突き出す。

パァァァ・・・

すると次の瞬間、美遊の足元に群青色のミッドチルダ式の魔法陣が展開される。

「よぉーしっ!私も!!」

ヴィヴィもそう言いながら美遊の隣に移動し、美遊に合わせながら魔力を練り始める。

「ヴィヴィ、もう少し丁寧に。少し雑になってる。」

「あぅ……はいっ!!」

「………」

パァァァ・・・

ヴィヴィがなのはにそう指摘されるなか、美遊は安定した感じで群青色のスフィアを形成する。

(凄い………初めてで、それもデバイスなしで、ここまで安定しているなんて………それにこの魔力。私達のものより、どちらかと言えばマトイに近い………?)

「………」

なのはがそう思いながら見ているなか、美遊はスフィアを維持しようと集中する。

「「「ヴィヴィ(さん)!!なのはさん!!」」」

「大丈夫ですか!?」

「!?」

「り、リオ!?コロナ!?ミウラさん!?アインハルトさん!?」

「あっ………!?」

そんななか、バリアジャケットを身に纏ったリオ、コロナ、ミウラ、アインハルトの四人が危機迫った様子で駆けつけてくる。

四人の登場で集中が切れたのか、美遊のスフィアも宙へと霧散する。

「み、皆、どうしたの?そんなに慌てて………」

「こちらにお邪魔した途端、とてつもない魔力を感じて………」

「ってあれ?」

「ヴィヴィ?」

「その子はどなたですか?」

首を傾げながらそう尋ねるヴィヴィにアインハルトが辺りを警戒しながらそう答えるなか、リオ、コロナ、ミウラの三人は美遊のことについて、そう尋ねる。

「え~と………とりあえず皆、一旦中に入ろうか……」

そんな四人に対し、なのははそう言いながら家の中に入れてから美遊のことについて、説明した。
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