杯の少女

現在、『ウェズペリア』、アトラン王国、ナカムラ家、リビング・・・

「その後、自身のこと、セレナの命を繋ぎ止めるために一体化したこと等を説明した私はナスターシャ教授から六年前の事故でおまえ達が亡くなったことを聞かされ、セレナには秘密にしてほしいと頼まれ、同時にセレナを護ることを約束した………」

「そっちではそんなことが……」

「なんか色々とビックリデス……」

「……ねぇ……セレナ自身もあなたの存在を認識しているの?」

ナスターシャ教授との経緯について、そう説明したゼノヴァに対し、マリアは続けてそう尋ねる。

「いや。セレナは私の存在は認識していない。」

「そう……」

「そこでおまえ達に頼みがある……今、起きている事件が落ち着くまでで良い。セレナが元いた世界の『おまえ達』のフリをしてくれないか?」

対するゼノヴァはそう答えた後、続けてそう頼んでくる。

「!?私達が……」

「『私達』のフリを……デスか?」

「そうだ。セレナは今、ソロモンと名乗る悪魔によって心に深い傷を負ってしまっている……そんなセレナの心を少しでも癒してやりたいのだ……頼む。協力してほしい……」

目を丸くしながら調と切歌がそう言うなか、ゼノヴァは真剣な表情でそう頼み込む。

「………わかったわ。それがセレナのためなら。」

「っ、わ、私も!」

「私もデェース!!」

対する三人はそう言いながら引き受ける。

「ありがとう……」フラッ

「っと……」

そんな三人に対し、セレナゼノヴァはそう礼を言いながら前のめりに倒れるが、マリアが寸でのところで受け止める。

「「セレナ!!」」

「大丈夫。多分、セレナ本人も寝ている間に起きていたゼノヴァも眠りに就いただけ。」

「スゥ・・・スゥ・・・」

慌てて駆け寄る二人にそう言うマリアの腕のなかからセレナの寝息が聞こえてくる。

「それじゃあ、私ももう寝るわね。」

「うん。」

「マリアもお休みデス。」

そうして四人は各々の部屋へと戻った。
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