杯の少女

六年前、『地球』、米国、『FIS』、研究施設・・・

ボォォォ・・・ッ!!

「りんごは浮かんだお空に…

りんごは落っこちた地べたに…

星が生まれて歌が生まれて

ルルアメルは笑った 常しえと」

六年前、起動実験に失敗し、暴走した生きた完全聖遺物、ネフィリムによって崩れ、燃え盛る『FIS』の研究施設のなか、アガートラームを纏い、『絶唱』でネフィリムを眠らせることに成功したセレナはバックファイアによる血の涙を流しながら歌を紡いでいた。

「星がキスして歌が眠って

かえるとこはどこでしょう…?

かえるとこはどこでしょう…?」

「ッ……セレナ………」

ガコッ!!

「!?」

そんななか、一つの瓦礫がセレナの真上に落ちてくる。

「りんごは落っこちた地べたに…」

が、当のセレナはそのことに気付かず、歌を紡ぐ。

「危ない!!」

「りんごは浮かんだお空に…」

「セレナ!!」ドンッ!!

「!?」

ズガァァァンッ!!

次の瞬間、近くにいたマリアがセレナを押し飛ばし、身代わりに瓦礫の下敷きになる。

「あっ……マリア……姉さん……」ペタン

その一部始終を間近で見たセレナは思わず尻餅を着いてしまう。

そんなセレナの頭上に新たな瓦礫が落ちてくる。

ビュンッ!!カアアアァァァッ!!!

「!?」

が、その瞬間、何処からかシアンの光・・・当時、地球に飛来し、セレナの歌に惹かれてきたゼノヴァが飛んできて瓦礫を弾き飛ばしながらセレナの懐に飛び込んできた。
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