杯の少女

リビング・・・

「見つけたデス!!」

「セレナ……」

それから数分後、三人はリビングのベランダで『サマエルの匣』を抱えながら、月明かりに照らされながら佇むセレナを見つける。

「セレナ。こんな所でどうしたの?」

マリアはそう尋ねながら歩み寄る。

「………」

「「「!?」」」

が、振り返ったセレナの瞳の色が翠からシアンに変わっていて、雰囲気も三人の知るセレナとは違っていた。

「……マリア・カデンツァブナ・イヴと暁切歌、月読調か……」

「「「ッ!!」」」

明らかにセレナのものとは別の女性の声でそう言う『セレナ』に対し、三人はすぐさま距離を取りながらペンダントを構える。

「あなた、一体誰!?」

「どうして、セレナの身体を乗っ取ってるデスか!?」

「セレナを返して……!!」

「ふむ……『返せ』と言われても難しいな……何せ今の私はセレナと一体化しているからな……」

構えた後、そう言うマリア、切歌、調の三人に対し、『セレナ』は冷静にそう言う。

「!?」

「!?一体化……デスか?」

「!?もしかして、あなたは……『フィーネ』……なの?」

マリアが驚愕の表情を浮かべ、切歌も首を傾げながらそう言うなか、調は真剣な表情でそう尋ねる。

「フィーネ……先史文明の巫女の亡霊のことか……安心しろ。私はフィーネではないし、セレナに危害を加える気は毛頭ない……」

対する『セレナ』はそう答えながらソファーに腰掛け、『サマエルの匣』を手前のテーブルの上に置く。

「種族名だが名乗ろう……我が名はゼノヴァ……様々な星の文明を学び、渡り歩いてきた……おまえ達人間で言うところの宇宙人だ………」

「「宇宙人!?」」

「それがどうしてセレナに!?」

目の前にいる、今はセレナの身体の主導権を得ている謎の宇宙人、ゼノヴァの言葉に切歌と調、マリアの三人はそう困惑の声を上げる。

「……私はただセレナの唄に惹かれ、護りたいと思った……それだけだ………」

そんな三人に対し、ゼノヴァはそう言いながら自身が知る、自身とセレナが元いた『地球』で起きたネフィリムの暴走事故の真実を話し始めた。
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