杯の少女

『ウェズペリア』、アトラン王国、ナカムラ家・・・

ジャー・・・

「ふぅ……スッキリしたデス……」

「切ちゃん、終わった?」

時を遡り、響達装者組やセレナが来た日の夜、用を済ませた切歌に対し、付き添っていた調はそう尋ねる。

「バッチリデス!調♪」

「良かった……じゃあ、戻ろっか。」

「OKデス!!」

そうして二人は自分達に宛がわれた部屋へと向かう。

「それにしても、やっぱり広い屋敷デスね。」

「うん……気を付けないと迷子になりそう……」

「あら?切歌、調。」

「「マリア!?」」

「どうしたのよ?こんな時間に……」

そんななか、偶々、出会したマリアがそう話しかけてくる。

「あはは……恥ずかしい話、ちょっとおトイレに行っていたデス……」

「私は付き添い。切ちゃん一人だと迷子になりそうだったし。」

「そう。」

「マリアこそ、こんな時間に何してるデスか?」

「あぁ、セレナを探しているの。気付いたら部屋からいなくなってて……二人は知らないかしら?」

首を傾げながらそう尋ねる切歌と調に対し、マリアはそう答えながらいつの間にか一緒の部屋からいなくなっていたセレナの行方について、尋ねる。

「セレナの?私は見てないけど……切ちゃんはどう?」

「私も見てないデス。」

「そう……何処に行っちゃったのかしら。あの子……」

対する二人からの答えを聞いて、マリアはそう言いながらセレナの身を案じる。

「もしかしたら、屋敷の中で迷子になってるのかも……」

「私達も探すの手伝うデスよ!!」

「住んでいる世界は違うけど、セレナもマリアも私達の大切な『家族』だもんね。」

「二人とも……ありがとう……」

そうして三人はセレナを探し始めた。
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