杯の少女

『ミッドチルダ』、アーチャー家・・・

「ーーーという訳で、美遊ちゃんをうちで面倒を見ようと思うんだけど……良いかな?」

美遊が庭に転移してきた翌日、ヴィヴィと美遊が一緒に読書しているなか、なのはは通信で事の詳細を説明してからそうフェイトに確認を取る。

『うん、異論はないよ。私も放っておけないから。』

「ありがとう、フェイトちゃん。ただ……」

『ただ?』

「ちょっと気になることがあるの。」

『その美遊って子に?』

「うん……あの子から、何かを感じるの。レイジングハートもあの子からロストロギアクラスのエネルギー反応を捉えてるの。うちの結界で局には見付かってはないだろうけど……」

ヴィヴィと一緒になって楽しそうに読書する美遊を見ながら、なのはは美遊の中にある『何か』に懸念した表情を浮かべながらそう言う。

『ロストロギアクラスの?そうなると、反応を隠せるようになるまでは、うちからは出せないね……』

「そうなの。何か案ある?」

美遊が抱える現状の問題の解決法について、なのはは困った表情でそうフェイトに意見を求める。

『……お姉ちゃん達に相談してみるよ。お姉ちゃんや彩夏姉さん達なら、何とかしてくれるかもしれない。』

「わかった。お願いね、フェイトちゃん。」

『うん。なのはも無理しないでね。今は友奈とミライを抱えているんだから。』

「わかってる。じゃあ無事に帰ってきてね。」

『うん。約束する。』

「じゃあね、フェイトちゃん。」

『うん、なのは。』

プツンッ!!

そうしてなのははフェイトとの通信を終える。

「凄い………地球と全く違う歴史に、魔術とは異なる理論による魔力運用。それも『魔法』で、二種類もあるなんて……とても興味深い……」

「美遊ちゃんの言う魔術は魔法とは違うんだね。」

「ヴィヴィさん。魔法の映像はありますか?」

そんななか、『ミッドチルダ』の歴史や魔法に関する本をヴィヴィに翻訳してもらいながら読んだ後、美遊は目を輝かせながらそう尋ねる。

「勿論!私のママ達は自慢のエースと呼ばれてるんだよ!クリス!!映像出して!!」

『・・・』ビシッ!!

ヴゥンッ!!

対するヴィヴィがそう言いながら愛機であるうさぎのぬいぐるみ、クリスに指示を出し、クリスは片手を上げて応えながら空間モニターでなのはとフェイトの映像を出す。

「!?と、飛んでる!?……一体どうやって……!?」

「美遊ちゃんも覚えれば、きっとできるよ!!」

「にゃははは・・・」

昨日とは打って変わって純粋克つ豊かな表情を浮かべながらヴィヴィと打ち解けている美遊を見て、なのはは意外に思いながらもいつものように微笑んだ。
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