『ミッドチルダ』、アーチャー家、庭・・・

「なのはママー！流星群始まったよー！！」

その頃、『ミッドチルダ』、アーチャー家の庭にて、ヴィヴィは夜空を見上げながら家の中にいるなのはに対し、そう言う。

「あ。もうそんな時間？すぐ行くねぇ～。」

対するなのははそう言いながら夕食に使った食器を洗い終え、ココアと緑茶の入ったマグカップを持って庭に出ると夜空を見上げているヴィヴィの隣にある揺り椅子(フェイト作)に腰掛け、ココアが入っている方のマグカップをヴィヴィに手渡す。

「ありがとう、なのはママ。」

「夜は冷えるからね。ふぅ……」

緑茶を一口飲んだ後、思わず溜め息が溢れる。

お腹が大きくなり、二つの命を抱えている分、家事だけでもより多くの体力を消費する。

ヴィヴィもそれがわかっており、家事を進んで手伝っている。

「大きくなったね。なのはママのお腹。」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

「うん。シャマル先生も、経過は順調だって。ヴィヴィももうすぐお姉ちゃんだよ。」

「うん、早く友奈とミライに会いたいなぁ……二人にも見せてあげたいね。この流星群……」

「きっとまた来るよ。その時は、家族皆で見ようね。」

「うん！！」

二人で肩を並べて夜空の流星群を見上げるなか、

「！？」

「！」ｽｯ

なのはの脳裏に鋭い感覚が過る。

表情が険しくなった母の様子に、ヴィヴィもそっと拳を握り、辺りを警戒し始める。

「レイジングハート。庭の結界を起動させて。本局にバレないようにして。」

『All right.』

「良いの？なのはママ。」

「うん。この感じ……決して悪意じゃないから。先ずはお話してみたいんだ。」

パァァァ・・・

そう話す二人の前に一つの光が現れる。

やがてその光は一人の少女へと変わる。

「私には、家がありません……家事でも、何でも、しますので……どうか、置かせてもらえませんか……？」

黒い髪に琥珀色の瞳、顔つきや体型は日本人のものだったその少女は顔を俯かせたまま、なのはとヴィヴィの方を見て、小さな声でそう言う。

「「………」」ｺｸｯ

対する二人は顔を見合わせ、大きく頷く。

ヴィヴィは拳を解き、少女に歩み寄ってその手を取る。

「！？」

「フフ……」

驚く少女にヴィヴィは微笑んだ後、なのはの元へと連れていく。

「はじめまして。私は高町なのはと言います。この子は娘のヴィヴィオです。」

「高町ヴィヴィオと言います。ヴィヴィって呼んでね。」

「なのはさん、ヴィヴィさん……」

「事情は聞かないでおくね。でも何時か、話してくれる？主人も、君のことを聞いたら放って置かないからね。助けが欲しいなら、私達は手を伸ばすよ。家がないなら、うちにいらっしゃい。」

なのはは少女の手を優しく握ってそう話す。

少女の哀しみに満ちた目を見て、なのはは旦那でもあるフェイトの幼い頃を思い出していた。

だからこそ、余計に少女に興味を持ち、放って置けなかった。

「君の名前は？」

「……美遊。衛宮美遊です。」

笑顔でそう尋ねるなのはに対し、少女、美遊はそう名乗った。