戦姫達との邂逅

「「「「「ッ!!」」」」」

帝姿のナカムラ夫妻を見て、響達五人は警戒する。

「ただいま。お父さん。お母さん。」

「「「「「へ!?」」」」」

が、そう言うヴェルザの言葉に思わずすっとんきょうな声を上げる。

「お帰りなさい。ヴェルザ。」

「フェイトとティアナとスバルもいらっしゃい……そっちの六人ははじめましてかな?」

「こんにちは。一翔さん、スィンさん。今回もお世話になります。」

「「こんにちは。」」

「え~と、ヴェルザちゃん?今、お父さんとお母さんって……」

「うん。私のお父さんとお母さん。」

「はじめまして。ヴェルザの父の一翔・中村です。」

「母のスィン・ナカムラよ。よろしくね。」

顔を引きつらせながらそう尋ねる響にヴェルザがそう答えるなか、一翔とスィンはフードを外しながらそう自己紹介する。

「!?ヒィィィッ!?」

「「「「「「「!?」」」」」」」

「!?セレナ!?」

「どうしたデスか!?」

が、一翔の素顔を見た瞬間、セレナは激しく怯えながら調と切歌の後ろに隠れる。

「え?」

「一翔!フードを被って!!」

「あ、あぁ……」

スィンに言われ、一翔はすぐさまフードを目深に被る。

「大丈夫。この人は私のお父さん。だから、怖がらないで。とても優しい人だから。」

「……本当?」

「うん。身寄りのない私を娘として受け入れてくれた優しい人だよ。お父さんは。」

怯えながらもそう尋ねるセレナに対し、ヴェルザは優しい笑顔でそう言う。

「……僕、そんなに怖い顔してるかな……」

「「あはは・・・」」

「え~と、そういえば、お二人が帝としての格好をしているなんて珍しいですね。」

初対面のセレナに素顔で激しく怯えられたことに落ち込む一翔にティアナとスバルが苦笑いを浮かべるなか、フェイトがそう二人に尋ねる。

「あぁ、実は帝として一週間程、国から離れなきゃいけないのよ。」

「?何かあったんですか?」

一翔とスィンが帝として一週間程、国を離れるということについて、フェイトは真剣な表情でそう尋ねる。

「(コソッ)あなたもよく知ってるでしょ?フェイト。この世界も含む数多の世界が『ハルシオン世界』に統合されたあの事件、『ジニア動乱』・・・」

「!?(コソッ)はい。私も仮面ライダーユライトとしてノゾミ達と共に世界を取り戻すために戦いましたから・・・」

響達には聞こえないようにひそひそ声でそう言うスィンに対し、フェイトも真剣な表情でひそひそ声でそう言う。

「(コソッ)ノゾミ達や他の世界のライダーのお陰で統合された全ての世界は元に戻ったけど、まだ何処かに『ジニア動乱』の『爪痕』が残ってるかもしれない。だから一週間、調査の旅をすることになったの。無論、留守中は彩夏と秀介、和也さん達にお願いしてあるわ。」

「(コソッ)?リヒテルさん達は?」

「(コソッ)あの人達はホワイトファングを追ってるらしいわ。だから……」

「(コソッ)わかりました。何かあれば、彼らと連携して対処します。」

「(コソッ)お願いね。」

「?あのぉ、フェイトさん?スィンさんと何の話をしているんですか?」

スィンとこそこそ話をするフェイトに対し、響は首を傾げながらそう尋ねる。

「うぅん。別になんでもないよ。」

「その子は大丈夫?」

「うん。まだちょっと怯えてるけど、大丈夫だよ。お母さん。」

「え、えっと……ごめんなさい……」

セレナの様子について、そう尋ねるスィンにヴェルザがそう答えるなか、セレナは若干怯えながらそう一翔に謝罪する。

「あぁ……大丈夫、大丈夫……気にしてないから……」

(((((絶対気にしている(デス)……)))))

「あはは・・・私達はこれから出掛けるんだけど、あなた達は汗をかいてるし、泥だらけだから良かったらうちのお風呂にでも入ると良いわ。着替えとかもうちので良かったら用意するし。」

若干落ち込みながらそう言う一翔に響達五人がそう思うなか、スィンは苦笑いしながらそう提案する。

「本当ですか!?」

「えぇ。皆、女の子なんだから早くサッパリしたいだろうしね。」

「ありがとうございます!」

「あ!あたし、知ってるデス!!こういう大きいお家はお風呂も大きいに決まってるデス!!」

「早く入りに行こう。切ちゃん。」

「合点デス!セレナも行くデスよ!!」

「は、はい……」

「あ!おまえら、勝手に先行くな!!」

そうして響やティアナ達は屋敷へと入っていく。

「フェイトさん。私が案内しますね。」

「うん。お願いね。ヴェルザ。」

ヴェルザも案内するため、後を追う。

「フェイト。」

「スィンさん……」

「……ノゾミのこと、お願いね。『ハルシオン世界』から帰ってきた後、あの子、ちょっと不安定になっているみたいだから……」

「!?わかりました……」

「それじゃあ、私達は行くわね。」

そうしてスィンは未だに落ち込んでいる一翔を引き摺りながら旅に出る。

(ノゾミ……まだ『あの時』のことを……)

そんな夫婦を見送りながら、フェイトはそう思いながら響達の後を追う。

「時にフェイト。風呂の前にノゾミの様子を見に行くというのはどうだ?確か、今の時間は特殊訓練場でシンフォギアを扱うための訓練をしている筈だ。」

「あ。そうだね。先にノゾミの様子を見に行こうか。」

が、翼の提案を聞き入れ、フェイトは特殊訓練場へと向かう。

「あら。フェイト、翼……」

「マリア……」

「マリア。ノゾミの様子はどうだ?」

道中、偶々出会したマリアに対し、翼はそう尋ねる。

「そうね………元気と言えば元気よ。ただ、やっぱりこの間の事件のことで思い詰めているみたい。少なくとも事件前の明るさは、今はないわ………」

「そうか……」

「ノゾミ……」

そうしてフェイトはマリアと共に特殊訓練場へと向かった。
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