戦姫達との邂逅

エンシェント・ストレージ・・・

ドッカァァァンッ!!

「!?マム……今の爆発音……」

「チームアルファが襲撃犯を撃退に向かった方ですね。」

「至急チームアルファに連絡を。」

「了解。」

最近、発見された、最も危険性が高い聖遺物、『サマエルの匣』を保管するために設けられた部屋、『エンシェント・ストレージ』にて、爆発音と震動を感じ取った見た目13歳位の少女、セレナ・カデンツァブナ・イヴに対し、老齢の女性、ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤがそう言うなか、二人の護衛に着いていたチームベータの隊長は部下にチームアルファとの連絡を取らせる。

「………」

ナスターシャ教授は自分の手にある、黒い六枚の石板で構成されたキューブ状のアイテム・・・『サマエルの匣』を見つめる。

(天使サマエルが堕天する際、自らの権能と“力”の殆んどを封じたとされる『サマエルの匣』……伝説の真偽はともかくこの匣には強大な未知のエネルギーが宿っている……)

「マム……」

(使い方次第では世界さえも滅ぼしかねないこの“力”……決して奪われる訳には……!!)

「チームアルファ!応答しろ!!チームアルファ!!」

「あぁ、悪いが通話の相手は吹っ飛んじまったから出られねぇぞ。」

「「「「「「「!?」」」」」」」

そんななか、加頭の空間移動で加頭と彩翔と共に近くまで移動してきたソロモンが爆発の直前に回収していた、チームアルファ隊員の通信機を片手でアンテナ部分を持ってぶら下げるようにしながらそう言う。

「何者だ!?貴様ら!!」

目の前に現れたソロモン達三人に対し、チームベータの隊長はそう尋ねながら銃口を向け、他の隊員達も銃口を向ける。

「くくく……悪魔だよ、通りすがりのな……」

「!?悪魔………」ギュッ!!

「ふざけるなっ!!」

ダァンッ!!

嗤いながらそう言うソロモンの言葉にセレナが首から下げたペンダントを握りしめるなか、隊長はそう言いながらソロモンに向けて、発砲する。

「おっと……」

『ジョーカー!!』

『INVADE』

パキィィィンッ!!

対するソロモンはすぐさまインヴェイド・ジョーカーフォームに変身する。

ガキィンッ!!

パラララ・・・

隊長が撃った銃弾は命中する。

が、銃弾は貫通はせず、赤黒い光となって砕け散る。

「なっ!?」

「一瞬にして奇怪なスーツに身を包んで銃弾を弾いた………」

「くくく……そんなもんでこのインヴェイドは撃ち抜けねぇよ……」

インヴェイドに変身し、銃弾が弾かれたことに隊長とナスターシャ教授がそう困惑の声を上げるなか、ソロモンは嗤いながらそう言う。

「ッ……化け物が……!!」

「くはははははッ!!そいつぁ俺ら、悪魔からすりゃあ誉め言葉だよ!!」

「私達は一応人間なのですけどね。彩翔君。」

「ふん……」

「まぁ、そんなことはどうでもいい……俺達の目的は別に殺戮じゃねぇ……ここは悪魔らしく取り引きしねぇか?」

「!?取り引き?」

「あぁ……」

ソロモンはそう言いながら、ナスターシャ教授が抱える『サマエルの匣』を指差す。

「その匣をこっちに渡しな。そうすりゃあこれ以上の被害は出さねぇ……」

次の瞬間、ソロモンは不敵な笑みを浮かべながらそう要求する。

「ッ!!」

(やはり……彼らの狙いはこの『サマエルの匣』……!!)

そう言うソロモンの要求にナスターシャ教授が『サマエルの匣』を見ながらそう思うなか、チームベルタは銃を向けながら警戒し、セレナもペンダントを握り締めながら警戒する。

「くくく……」

「「………」」

そんなチームベルタやセレナを見ながらソロモンが不敵な笑みを浮かべるなか、加頭と彩翔は無言で佇む。

シュッ!!

『!?マスター!!』

「スモーク……それも毒が含まれた煙か……」

「隔壁を下ろせぇっ!!」

「はいっ!!」

ガアァァァーーーゴンッ!!

そんななか、隊長が毒のスモークを投げつけ、部下に隔壁を下ろさせる。

「あなた達……」

「教授!あなた方だけでも逃がします!!」

「急いでこちらへ!!」

隔壁を下ろした後、ナスターシャ教授とセレナはチームベルタと共に部屋から出る。

ズズズ・・・ッ!!

バカァァァンッ!!

その直後、隔壁の中心から赤黒い根が円を描くように這い出てきて、根が這った部分だけ粉々に崩れて風穴が空く。

「くはははははははっ!!逃げろ逃げろ。逃げられるもんならなぁっ!!」

その風穴から出てきたソロモンはそう言って嗤いながら、加頭と彩翔と共にゆっくりと追跡を開始した。
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