未来からの襲撃者

時を遡り、『絶対能力闇事件』から一週間後、『ゆっくり幻想卿』、山の中・・・

「うーん、なかなか上手くいかないなぁ……」

「何やってるの?シュガー。」

「ファッ!?ルーミア!?」

時を遡り、『武人の国』で起きた『絶対能力闇事件』から一週間後、『ゆっくり幻想卿』にあるとある山の中にて、珍しく真面目な表情でそう呟くシュガーに対し、『妖怪の国』から遊びにきたルーミアはそう話しかける。

「い、一週間ぶりだな……」

「うん。私が夜見と結花と一緒に『妖怪の国』の担当班として『機動六課』に入って『妖怪の国』で別れて以来だからそれぐらいだね。久しぶりに会いに来てみたら、こっちで何かやってるって聞いたから来たけど……何やってるの?」

「……誰にも言わない?特にパツ金と霊夢と石ころ。」

「少なくとも、その三人には知られたくないこと?」

「うん。ちょっと弾幕とスペカの練習してたの。」

「練習?そういうのは嫌がりそうなシュガーにしては珍しいね。何かあった?」

普段なら滅多にしない練習をしているというシュガーに対し、ルーミアは首を傾げながらそう尋ねる。

「……『武人の国』での一件でちょっと思っちゃったんだよねぇ……今のままじゃダメかなぁって……」

「………」

「なんていうか、周りよりちょっと劣ってるような気がしちゃってね。それが気に入らないというか……」

「……もしかして、ジェイさんとの時のこと、気にしてるの……?」

「……あの時、私がもっと弾幕やスペカを上手く使えてたら、ジェイさんをあんな目に遭わせずに済んだんじゃないかって思っちゃうんだよね……」

「………」

「だから、私は今よりももっと強くなりたい。けど、肝心の練習の相手が……」

「いないの?」

「……一応『フォーオブアカインド』で呼んだ三人の私に付き合ってもらおうと思ったんだけど……」

「上手くいってないの?」

「………」コクッ

一週間前の事件が堪えたのか、シュガーは珍しく弱気な表情で頷く。

「フランにでも相談してみたら?フランとシュガー、スペカとか一緒でしょ?」

「う~ん……あのパツ金にこんな弱気な私は見せたくないから、こっそり練習してたんだけど……」

「女は度胸だよ!腹を割って話せば、フランもわかってくれる!だから、頑張って!!」

「……うん……」

笑顔でそう言うルーミアに対し、シュガーは今まで見せたことがない程落ち込みながらそう返す。

「う~ん……これはどうしたものか……」

そんなシュガーを見て、ルーミアも思わず頭を抱え込む。

「!シュガー。ちょっと分身達を呼んでもらっていい?」

「え?」

「本人を困らせている分身にちょっと話がしたいんだ。」

「……わかった。禁忌、『フォーオブアカインド』!!」

パキィィィンッ!!

真剣な表情でそう言うルーミアにそう返事しながら、シュガーは再び分身を呼び寄せる。

「あ?今度こそ、強ぇ奴と戦える戦場で呼んだんだろうな?」

「キャハハハ♪そんなことよりシュガーちゃんは遊びたい☆」

「うぅ……痛いのは嫌だなぁ……」

「いや。今度はルーミアがあんたらに話があるって言うから呼んだんだ。」

「やぁ。三人のシュガー……なんかややこしいから上から怒りんぼ、ニコニコ、泣き虫って呼ばせてもらうよ。」

「なんかメタな感じがする発言ですね。」

「で、私らに何の用だ?」

少し真剣な表情でそう言うルーミアにシュガー(哀)こと泣き虫がそう言うなか、シュガー(怒)こと怒りんぼは不機嫌さを隠さずにそう尋ねる。

「用件は一つだよ。シュガーの訓練に付き合ってあげて欲しい。」

「あ゛っ!?嫌だよ。めんどくさい。」

「キャハハハ♪そんなつまらないことよりシュガーちゃんは遊びたい☆」

「あ。私は泣くしか脳がないし、痛いのは嫌なので……」

真剣な表情でそう言うルーミアに対し、分身達は揃って拒否の意を示す。

「……まぁ、そう言うだろうとは思ってたよ……じゃあ、こうしよっか。私一人とあんた達三人で勝負して私が勝ったら三人は大人しくシュガーの訓練に付き合ってもらう……」

「!?へぇ……面白ぇ……」

「キャハハハ♪それは面白い賭けだね☆」

「で、でも、それはルーミアさんに不利なんじゃ……」

「そうだよ!ルーミア!!いくらリボンで私と能力が共有できるとはいえ、その賭けは無謀過ぎる!!」

真剣な表情でそう言うルーミアの提案に三人の分身達(泣き虫はおずおずだが)が乗り気になるなか、シュガーは慌ててそう言う。

当たり前だ。性格がバラバラとはいえ、『あらゆるものを破壊できる』程度の能力を持つ三人の自分を、大切な友達で弾幕やスペカ、妖術ですら使えないルーミアが一人で相手をするというのだから。

「勝算があるからこその提案だよ。」

対するルーミアはそう返事しながら分身達と対峙する。

「言っとくけど、ルーミアだからって手加減しねぇぞ。」

「キャハハハ♪」

「うぅ……怪我しても恨まないでくださいね……」

「三人ともその言葉、そのまま返してあげるよ。」

やる気になった分身達に対し、ルーミアはそう言いながら向かっていく。

その後ろ姿はシュガーには頼もしく見えた。
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