「ねぇ。マトイちゃん。」

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

「はい。なんでしょうか？」

「マトイちゃんって『創世記時代』で産まれたんだよね？」

「その時代ってどういう時代だったの？」

その後、露天風呂に浮かぶセインを放置し、ノゾミとセッテはそうマトイに尋ねる。

他の者達も興味があるのか、マトイの方に視線を向ける。

「そうですね。創世記は現代の者からすれば、原始的なものかと思われますが、実はそうでもないのですよ。より正確に言えば、今よりも遥かに神秘性が高かったために魔法や精霊といった“力”による文化は発達していました。それこそ、魔力資質は現代の者よりも遥かに強く、純粋に近いものでした。では何故、現代の者が創世記の者よりも劣っているのか、知りたいですか？」

真剣な表情でそう言うマトイに対し、ノゾミ達は頷く。

「……激怒し、闇となったお母様方による一度目の文明の崩壊……数千年後、文明は魔界と人間界とに分かれて、互いに戦争をし始めたことによる滅んだり、滅ぼされたりの繰り返し。そして、魔王が討たれた後、勇者達により、パワーバランスが崩壊したことにより、淘汰・調整しようとした神界の天使達により、引き起こされた終末戦争によって二度目の文明が崩壊してしまいました……これらの大きな出来事が原因で文明は著しく低下してしまったのです……」

対するマトイは少しだけ哀しげな表情でそう説明する。

「そんな……」

『………』

マトイの『創世記時代』に関する説明を聞いた後、そう呟くノゾミを始めとした女性陣は暗い表情を浮かべる。

「で、ですがっ、それにより、人類は魔法や精霊以外の『技術』を模索するようになったんですよ。中でも科学技術なるものは素晴らしいものだと思います。」

シュル・・・ッ！！

「！？」

『！？』

「………」

そんなノゾミ達の空気を察したマトイが慌ててフォローするなか、放置されていたセインが恨めしそうにしながら、背後から夜見の口元のタオルを剥ぎ取る。

「なっ……！？」

「おや、お綺麗な顔をしてらっしゃるのですね。」

「そっちの方が全然良いですよ！！」

「隠すなんて勿体ないです！！」

タオルを剥ぎ取られたことに夜見が困惑するなか、マトイは冷静にそう言い、ヴィヴィとコロナはそう言いながら詰め寄った。

食堂・・・

『おぉ……っ！！』

露天風呂を堪能した後、テーブルの上にところ狭しと並んだ、ミクラアユを使った味噌煮や汁物といった魚料理の数々にノゾミやヴィヴィ達は目を輝かせる。

「………」

そんななか、夜見は常備のマントを着けようとする。

「今から夕食ですし、外した方が良いと思いますよ。」

「うぅ……／／／」

が、マトイに止められ、説得される。

「？夜見ちゃん、何かあったの？」

「実はーーー」

そんな夜見の様子に首を傾げながらそう尋ねるなのはに対し、ノゾミは露天風呂での一件を伝えた。