(おぉ……っ！！)

その頃、フェイトと共に湖にダイビングした夜見は太陽の光が射し込んで照らされるなか、様々な魚が泳ぎ、その鱗が綺麗に輝いている景色を見て、感動していた。

(！？)

そんななか、一匹の小さなオレンジの鱗の魚が夜見に近寄ってくる。

(あ。その子はミマカグラ。地球のクマノミによく似た魚だね。こっちは海水魚じゃなくて淡水魚だけど。でも、生態はクマノミにかなり近くて、シゲミマっていうイソギンジャク似の淡水植物と共存しているんだ。)

(植物と共存している魚……あ……)

小さなオレンジの鱗の魚、ミマカグラについて、フェイトが“念話”でそう解説するなか、ミマカグラは夜見から離れ、二人が今、いる深度よりも深い湖底へと潜行していく。

(追ってみる？夜見。)

(……うん……)

二人がミマカグラの後を追ってみると、深度が少し深いからか、少しだけ暗い湖底でユラユラと揺れるシゲミマの間を出たり入ったりするミマカグラの群れを見つける。

(わぁ………っ！！)

(フフ……シゲミマはね、自らを住処（すみか）としてミマカグラに提供する見返りにミマカグラにゴミとか掃除してもらってるんだ。)

その光景を見て、再び感動を覚える夜見に対し、フェイトは“念話”でそう説明する。

(なるほど……だから、あの植物はあんなに綺麗なんだな……)

(うん。でも、綺麗なのはここからだよ。)

ブアアアァァァッ！！

(！？)

フェイトが“念話”でそう言った瞬間、ミマカグラの群れが一斉にシゲミマから飛び出していく。

その様はまるで風で舞い上がる紅葉のようだった。

(綺麗……）

その光景に更なる感動を覚えると同時に夜見は共生に成功している二つの種族を見て、『互いに手を取り合う世界』の実現を目指す自分達の国を思い起こす。

(……『妖怪の国（わたしたち）』もこんな綺麗な景色を作り出せるかな……)

(きっと出来るよ。種族が違っても、私達はわかり合うことで未来を築けるんだ。)