武人の国

二日後、城の一室・・・

「さて、二日もお寝んねしちゃったノゾミちゃん。なんであんな無茶をしたのかな?」ニコニコ

「え、え~と……」ダラダラ

事件解決から二日後、城の一室で背後に黒いオーラを纏いながら、仁王立ちしながら(黒い)笑顔でそう尋ねるなのはに対し、ノゾミは冷や汗を流しながら、目を泳がせながら正座をする。

あのラーヴァナ戦の後、オーズ・プトティラコンボの“力”+キャロルの“力”+アリサからの高密度エネルギー+NS+魔力を込めた大技を放ったノゾミはその負荷で二日間、意識を失っていて今、目覚めたばかりだが、戦いの痛みと疲労がまだ残っていて正座をするのも辛い状態だった。

「プトティラコンボの“力”+キャロルの“力”+アリサアミちゃんからの高密度エネルギーにおまけにNSと魔力……『龍化』の域に到達したことで身体が慣れていたとはいえ、これだけの高出力の大技を使えばそうなるのは予測できたよね?」ニコニコ

「え~と……あの強力なアラガミの弱点が冷気だとわかったので……」ダラダラ

「だとしても、プトティラコンボとキャロルの“力”だけで十分だよね?アミちゃんが譲渡してきた高密度エネルギーはともかく……NSと魔力は必要だったのかな?」ニコニコ

「あうっ……それは……確実に倒そうと思って……それに『外装代脳』を護る障壁を破らなきゃいけなかった訳ですし………」ダラダラ

「ふぅん、確かに確実性を求めるのは良いことだよ。でもね。破る手段は他にもあったんじゃないかな?知らなかったかもしれないけど、アミちゃんのクレイドルなら破ることはできたと思うし………」ニコニコ

「そ……そうなんです……か……」ダラダラ

「他にも、ノゾミちゃんとアミちゃんが氷属性を付与した攻撃でラーヴァナの動きを止めている隙にセッテと美琴さんが障壁を破って『外装代脳』を破壊、その後に四人で一気に倒すという手もあったんだよ?最悪、『外装代脳』と障壁は美琴さんの超電磁砲だけでも突破できたと思うし……何もノゾミちゃん一人でやる必要はなかったんだよ?」ニコニコ

「は……はやてさんを元に戻したい気持ちが先走っちゃって……」ダラダラ

「うんうん、それは十分わかるよ。あの時は一刻も争う状態だったし……でもね、それでノゾミちゃんの身に何かあったら元も子もないよね?」ニコニコ

「あっ……うっ……うぅ……」プルプル

尽く論破してくるなのはの説教にノゾミは思わず涙目になる。

「………」

ポンッ・・・

「!?」

「ノゾミちゃんの気持ちはよくわかる。でもね、私達がはやてちゃんのことを想うように、皆もノゾミちゃんのことが大切なの。自分を二の次にできるような人はね、本当は自分のことが好きになれないんだ……ノゾミちゃんは自分が嫌い?」ナデナデ

そんなノゾミに対し、なのはは頭に手を乗せながら、そう言いながら優しく撫で始める。

「?なのはさんはその……そうだったんですか?」

そんななのはの妙に実感めいた言葉に疑問を感じたノゾミは首を傾げながらそう尋ねる。

「昔はそうだったよ。小さい頃から『良い子でいなきゃ。』って思ってたから。誰かのためになれる自分でいないと自分を認められなかった……でも、今は自分を認められる……皆のおかげで、ね?」

「なのは……さん……」

(多分、これまでの戦い、それにあの腕輪を着けることになった事件かな……でも、今は皆に謝ろう。心配かけちゃった訳だし……)

「……ごめんなさい……」

「ノゾミちゃん。ノゾミちゃんにも大切に想ってくれる人達がいる。ここにいていいんだって手を握ってくれる人達がいる。その人達とこれからも一緒に生きられるような戦い方を覚えよう?ちゃんと手伝ってあげるから。」

「……はい!!」

(探そう。私も含めて皆で、笑顔で帰ってこれる戦い方を。皆と一緒に!!)

こうしてノゾミは新たな決意をするのであった。
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