吉良邸・・・

「ジェイさん……」

「………」

「うっ……うぅ……」

「ジェイ……さん……！！」

「うぅ……っ！！」

はやてが救い出され、『創世龍』が降臨する数分前、ショッカー戦闘員や影虎配下のライオトルーパーを倒し終えた妹紅が今にも泣き出しそうな表情で灰化が進みつつあるジェイを見ながらそう言うなか、シュガー、フラン、夜見の三人は膝を着きながら涙を流し、早苗や尚美達も悲しそうな表情を浮かべながらその様子を見守る。

「アンアンッ！！」

「！？チャコ！！」

そんななか、宿屋に置いてかれてきたチャコがジェイの側まで駆けてくる。

「クゥ～ン・・・クゥ～ン・・・」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

「チャコ……」

目を閉じた状態で灰化しつつあるジェイの頬を舐め始めるチャコを見て、妹紅は何を思ったのか、顔をジェイの顔に近づける。

「……目を覚まして……ジェイさん……」

パァァァ・・・バサァッ！！

『！？』

妹紅はそう言いながら、涙を流しながらジェイの頬に軽く口づけをした次の瞬間、四つの大きな純白の翼と一切の汚れを寄せ付けない純白の身体に一切の攻撃を通さないオーラを纏った龍・・・『創世龍』が妹紅達の頭上に降臨する。

「な、なんですか！？この龍は！！？」

【クロコダイルの“力”を持つ男よ。本当に悔いはないか？】

「……ウッ……」

降臨した『創世龍』に早苗がそう困惑の声を上げるなか、『創世龍（リサ）』はそうジェイに問いかける。

【彼女らに涙を流させる……それは汝が望んだことか？悲しませることが、汝が彼女らに求めることか？】

「……チ……ガ……ウ……」

「ジェイさん！！」

「私……ハ……生キタイ！……妹紅……サンヤチャコ……皆ト……一緒二……！！」

『創世龍』からの問いに微かながらも意識を取り戻したジェイは途切れ途切れながらもそう答える。

【……ならばその願い、聞き入れよう……代償は貰うが……】

パァァァ・・・

「！？」

「！？ジェイさん！？」

『創世龍』がそう言った瞬間、『創世龍』の身体から水色の光が現れ、ジェイを優しく包み込む。

「！？灰化が！？」

次の瞬間、灰化の症状が止まっただけでなく、これまでの戦いで負っていた傷も完全に癒える。

「ジェイさん！！」ｶﾞﾊﾞｯ!!

「妹紅サン……」

【汝のオルフェノクとしての命と“力”と引き換えに汝の傷を癒し、再び人間（ヒト）としての命を授けた。】

『創世龍』の“力”によってオルフェノクから完全な人間へと戻ったジェイに妹紅がそう言いながら抱きつくなか、『創世龍』はそう説明する。

ワァァァーッ！！

「なんという奇跡だ……」

「サンキュー……」

そのことに周りから喜びの声が上がり、吉宗がそう呟くなか、ジェイは『創世龍』に感謝の言葉を言う。

【……我は自ら来たのではない。彼女らの想いが我を呼んだのだ。しかしこのようなことは本来、起こるべきではない。だが、彼女らの想いがそれを叶えた……そのことを忘れるな……】

バサァッ！！

対する『創世龍』はそう言いながら飛び去っていった。

「……ジェイさん！！」

「……妹紅サン。コレカラモヨロシクオ願イシマス……」

「……はい！！」

その後、恥ずかしげにそう言うジェイに対し、妹紅は笑顔でそう言った。