武人の国

「くっ……わしはまだこんな所で捕まる訳にはいかん!!」

その頃、影虎やショッカーと組んでいた吉良はそう言いながら数名の部下を連れて逃げようとする。

「逃がしはせんぞ。吉良。」

「「「「「「!?」」」」」」

が、既に先回りしていた吉宗がそう言いながら立ち塞がる。

「くっ……身分のない平民の武人が……将軍より代官の地位をたまわった儂に逆らうな!!」

吉宗が将軍だと気付いてない吉良は睨み付けながらそう言う。

「うつけ者。余の顔を見忘れたか?」

「なに……?」

吉良は眉間にしわを寄せながら吉宗の顔をよく見てみる。

「……!?上様!?」

「「「「「!?」」」」」

吉宗の正体が以前、代官の地位を賜る際に拝見した将軍だということに気付いた吉良は慌てて部下達と共に地に両手両膝を着いて頭を下げる。

「吉良よ。此度の騒動、一体どういうつもりだ?」

「う、上様。これは何かの間違いでございます。決して私が仕組んだことでは……」

「うつけ者!!バレてないと思ったのか!?」

「わ、私はただ上様が天下を取るための足掛かりを作ろうと……!!」

「そのためなら悪人共と手を組み、何の罪のない子どもや『外の世界』の住人を巻き込み、犠牲にしても良いと思っているのか!?」

「そ、それは……」

「貴様がしたことは決して赦されるものではない。貴様も武人の端くれで余に真に忠誠を誓っていると言うなら今、この場で潔く己の罪を認め……腹を切れ!!」

言い淀む吉良に対し、吉宗は睨み付けながら切腹を命じる。

「くっ……バレていたのなら仕方ない。将軍様。あなたの時代は終わりです!!」

ズオオオォォォーーーッ!!

ズズズ・・・ッ!!

が、開き直り、本性を露にした吉良がそう言いながら立ち上がった瞬間、吉良の足元の影が広がり、黒い人形が大量に出現する。

「『影傀儡』……サイキックで実体化させた影の人形か……」

人形ひとがたは本来一体くらいしか実体化できませんが影虎が再調整とやらで繋げた、拐ったガキ共の脳波のネットワークのおかげでガキ共と同じ数の人形を実体化させることができ、さらに人形達はガキ共のサイキックが使えます。如何に将軍様であろうとこの兵力の前に勝ち目はない!!」

吉良がそう言うなか、影傀儡達は戦闘体制を取る。

「………」スッ

対する吉宗は静かに刀を抜き、構える。

そうして吉宗VS吉良の戦いが始まった。
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