武人の国

宿屋、『藤原屋』・・・

「ここは俺も泊まらせてもらってる宿屋でな。ここなら他の者達からの視線も気にせず、話せるだろう。」

その後、新之助の案内で歩くこと三十分後、一行は宿屋、『藤原屋』に到達する。

「ねぇ。魔理紗。藤原屋って……」

「ひょっとすると、あいつが出てくるかもな……」

「今、帰ったぞ。」

ガラッ!!

霊夢と魔理紗がそう話をするなか、新之助はそう言いながら扉を開ける。

「あ。新ちゃん、お帰りぃ~。」

「「「「「「「「やっぱり……」」」」」」」」

次の瞬間、奥からそう言いながら出てきた白髪の女性、『武人の国』の藤原妹紅を見て、霊夢、魔理紗、フラン、レミリア、シュガー、妖夢、さとり、こいしの八人はため息混じりにそう言う。

「ん?新ちゃんが半妖や妖怪を連れて帰ってくるなんて珍しいね。」

『!?』

そんななか、夜見、フラン、レミリア、シュガー、さとり、こいし、ルーミア、エリーチカ、ノンの九人を半妖or妖怪だと見抜いた妹紅に対し、ノゾミ達は驚愕しながらも警戒する。

「心配しなくて良い。彼女は妖怪にも理解がある心ある元武人だ。」

そんなノゾミ達に対し、新之助は笑顔でそう説明する。

「え?」

「そうなんですか?」

「おうともよ。こんな可愛い奴らを『妖怪だから』って理由だけで嫌いになったり、討伐しようとしたらしねぇよ。」ガシガシッ!!

そんな新之助からの説明に夜見がそう言うなか、首を傾げながらそう尋ねるフランに対し、妹紅は笑顔でそう言いながら夜見とフランの頭を思いきり撫でる。

「それに私は昔、心ある妖怪に回復薬を譲ってもらって命を助けられたことがあってね……人間も妖怪も変わらない……そう考えたら『妖怪だから』って理由だけで討伐しようと戦うのがなんだかバカらしくなってね。今は宿屋を経営して静かに暮らしているんだよ。」

「今日はもう遅いからここで一晩、身体を休めると良い。宿代は先程、不快な思いをさせてしまった慰謝料として俺が持とう。」

「いえ。この人数ですし、流石に悪いですよ。」

宿代は自分が持とうという新之助の申し出に対し、佳奈多はそう言って断ろうとする。

「なに、これはこの国の武人としての俺の誠意だ。」

「ですが」

「もし、それで申し訳ないと思うのであれば、今夜の夕飯の場ででもおまえ達の国や世界のことについて、話を聞かせてほしい。それでお互いに手を打とう。」

「お。それは良いね。私も他の国や『外の世界』について、興味がある。聞かせてくれるんなら宿代も安くしとくよ。」

「そういうことでしたら、よろこんで……」

こうして一行は新之助と妹紅の厚意で『藤原屋』に泊まることになった。
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