呪われし鎧とライダーになろうとする少女

佳奈多VSスパンダ・・・

「はぁ……はぁ……」

「さっき、はやてからこの施設のメインコンピュータールームと試作段階のG装備とG4の保管室が爆破され、それに伴ってハードガーディアン達は機能停止。あなたの部下達も逮捕され、ホワイトファングも撤退。ヒューイに装着させていたレジェンドG4もティアナが止めて、カノンもクロトが無事に救出したって報告が届いたわ。カオスファクターにも逃げられたみたいだけど……」

その頃、息を切らしながら片膝を着くスパンダに対し、メルトリリスとユニゾンした佳奈多は冷静にそう告げる。

プロヴィデンスG4の十一基のドラグーンはメルトウイルスによって融解され、装着者であるスパンダ自身が肉弾戦は不得手だったこと、逆にユニゾンしている佳奈多とメルトリリスが二人とも肉弾戦が得意だったこともあり、佳奈多の方がプロヴィデンスG4を装着したスパンダを圧倒していた。

「今すぐその装備を棄て、大人しくお縄に着いた方が身のためよ。」

「くっ……私はまだッ!?ぐあああぁぁぁーーーっ!!?」

「!?」

突然、スパンダが頭を押さえながら苦しみ出す。

「ぜ、ZERO SYSTEMが……!!?」

「ッ!!言わんこっちゃない!!」

スパンダがそう言いながら苦しむなか、佳奈多はそう言いながらスパンダを止めようと向かっていく。

「!?」

ズガアアアァァァンッ!!

が、次の瞬間、スパンダを中心に衝撃波が全方位に放たれる。

「くっ……」

衝撃波によって吹き飛ばされた後、佳奈多はそう言いながら立ち上がろうとする。

「!?」

ドクンッ!!

が、その瞬間、突然の発作が佳奈多を襲う。

「ぐっ!?」

『!?佳奈多。あなた、まさか、前の事件の後遺症が!?』

「くっ……大丈夫……」

「………」スクッ

そんななか、スパンダは何事もなかったかのように立ち上がる。

『!?雰囲気が……!?』

「どうやらZEROに完全に呑み込まれたようね。」

カァァァ・・・

メルトリリスと佳奈多がそう言うなか、スパンダ、否、プロヴィデンスG4の身体が赤く発光し始める。

ドンッ!!

次の瞬間、プロヴィデンスG4はトランザムすることでさらに上がったスピードで肉簿しながら複合盾のビームソードで斬りかかってくる。

「!?」

(速い!?)

「くっ!!」

ガキィィィンッ!!

対する佳奈多はそう思いながら、左足のブレードでビームソードを受け止める。

パシッ!!

「!?」

が、その直後、プロヴィデンスG4は左足で足払いをかけて佳奈多の体制を崩し、

ガシッ!!ドカァァァンッ!!

「あっ!?」

首を掴み、地面に叩きつける。

「くっ……このっ!!」

佳奈多はそう言いながら左足で蹴りを入れようとする。

ドカァァァンッ!!

「がはっ!?」

が、プロヴィデンスG4はその蹴りをかわしながら逆に蹴り飛ばす。

パァァァ・・・ドサッ×2!!

プロヴィデンスG4の蹴りは以前、『Xマジンラー』に拉致され、再調整を施された後のノゾミと雪那が変身するジェミニやはやてとの戦いで負った傷跡に当たり、そのダメージにより、佳奈多とメルトリリスのユニゾンが解除され、二人はそのまま倒れ込む。

「くっ……」

「佳奈……多……」

「………」

ユニゾンを強制解除させた後、プロヴィデンスG4は先に佳奈多からトドメを刺そうとする。

ドカァァァンッ!!

「「「!?」」」

『・・・』

が、突然、黒い一角獣のようなゼクターが佳奈多を護るかのように現れながらプロヴィデンスG4に体当たりする。

「黒い一角獣……まさか……!?」

『・・・』

「バンシィのゼクター!?」

『・・・』

そう困惑の声を上げる佳奈多に対し、黒い一角獣のゼクター、バンシィは佳奈多に近寄る。

「い、嫌あああぁぁぁーーーっ!!!」

バシィィィンッ!!

が、かつての『消えた戦争』で再調整を施された時に名乗っていたシェリー時代の記憶がトラウマとしてフラッシュバックした佳奈多は激しくバンシィを拒絶する。

その時の彼女は普段からは想像がつかない子どものように泣きじゃくっていた。
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