呪われし鎧とライダーになろうとする少女

現代、研究施設、施設長室・・・

「ヒューイ……ティーダの犠牲があったからこそ、おまえはこうして生き、八神佳奈多と同じ仮面ライダーの“力”を得たのだ……」

「ッ……」

ティーダの死を交えたスパンダの指摘にヒューイは言葉を詰まらせる。

「わかってるな?犠牲ありきの正義を否定すれば、ティーダの死も無意味になる……おまえはそれでいいのか?」

「………」

「この話はこれで以上だ。わかったなら仕事に戻れ。」

「……わかりました……」

ヒューイはそう言いながら施設長室を後にした。

「少し感情的になりやすいですね。彼は。」

その直後、銀色の仮面で顔の上半分を隠した、明らかに局員のものではない赤い軍服を着た金髪の男がそう言いながら、ヒューイが出ていった扉とは別の扉から現れる。

「!?フロンタル大佐……いらしてたんですか?」

「えぇ。彼がカノン・立華の『保護』に成功したことを報告した辺りから……アロザウラーのカメラアイから病院での戦いを観させていただきましたが、あなたが開発したG4は実に素晴らしい。場所の関係上、本領を発揮できなかったとはいえ、フェンリルを圧倒するとは……」

そう尋ねるスパンダにそう答えながら、スパンダと密かに手を組んだホワイトファングの幹部である仮面の男、フル・フロンタルはG4の性能について、そう賞賛する。

「いやいや。フロンタル大佐。あなた方、ホワイトファングの協力があってこそ、ここまで実用段階にこぎ着けることができたのですよ。」

「光栄ですね。スパンダ統括官。しかし、法と平和を謳う『時空管理局』の上層部の一人であるあなたが本来なら敵対関係にある我々と関係を持つとは……」

「フフ……『最高評議会』を失った今の『時空管理局』に未来はありませんからね。それにレアスキルを研究する者としてはあなた方の目指す『人類の覚醒』は実に興味深い……」

「ほぅ……カノン・立華もまたその研究材料という訳ですか。」

「フフフ……彼女の“力”はG4を更なる高みへと昇華させる……私達の目指す『正義』のためにね……」

「……ほぅ……」

不敵な笑みを浮かべながらそう言うスパンダの言葉にフロンタルもまた不敵な笑みを浮かべながらそう言う。

「それは実に興味深い。見ていきたいものですね。あなたの言う、更なる高みへと昇華したG4を……」

「期待に答えてみせましょう……忌々しい『機動六課』を潰してね……」

「………」

そう言いながら興味を示すフロンタルにスパンダがそう言うなか、一人の眼鏡をかけた女性研究員が気配を消しながら二人の密談に耳を傾ける。

その後、女性研究員は二人に気付かれないようにその場を後にした。
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