呪われし鎧とライダーになろうとする少女

回想、十年前、地上本部・・・

「聞いたぞ。ヒューイ。特別救助隊への推薦を貰ったんだってな。」

十年前、地上本部にて、当時は武装隊所属の三等空尉だったティアナの兄、ティーダ・ランスターは同じく三等空尉でコンビを組んでいたヒューイに笑顔でそう話しかける。

「あくまで推薦であって本決まりって訳じゃないけどな……そう言うおまえは?そろそろ執務官試験の結果が出る頃だろ?」

「あ、あぁ、まぁな……」

「?」

「それよりも!訓練校からの親友にして相棒の夢が叶うんだ!!今夜は一緒に祝おうぜ!!三人でパァーッとな!!!」

「三人って……ティアナもか?」

「あぁ!!あいつもおまえの特別救助隊入りを喜んでたからな!!美味い飯作って待ってるってよ!!」

「そうか……じゃあ、先におまえとの最後の仕事を終わらせないとな。」

ヒューイはそう言いながら一つの資料を手渡す。

「……例の無差別殺人の次元犯罪者の女か……」

「あぁ。漸く尻尾を掴んだ。これから逮捕しに向かうつもりだ。」

「よし!さっさと取っ捕まえようぜ!!」

「あぁ……」

そうして二人は前から追っていた次元犯罪者の元へと向かう。

「あら?ティーダ。ヒューイ。」

「「佳奈多相談役!!」」

そんななか、当時、二人の教導をしたことのある佳奈多と鉢合わせる。

「ヒューイ。特別救助隊への推薦、おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「ティーダ。今回は残念だったわね。」

「うっ……」

「おまえ……落ちてたのか……」

佳奈多からそう言われ、思わず言葉を詰まらせるティーダに対し、ヒューイはそう言う。

「……大丈夫よ。地球にも、一度や二度の不合格は当たり前な大学や資格がある。私の知り合いにも執務官試験に二度、落ちた子がいる。でもその子、三度目でちゃんと受かったわ。あなた達はまだ若いんだし。チャンスは幾らでもある。だから、何度でも挑戦するの。」

「……はい!!」

「はい!!」

笑顔でそう言う佳奈多に対し、ティーダとヒューイは真剣な表情でそう言う。

「じゃあ任務、頑張ってね。終わったら、私の奢りで食事にでも行きましょ。ティアナも入れて四人でね。」

「ありがとうございます!!」

「行ってきます!!」

そうして二人は佳奈多に見送られながら次元犯罪者の確保に向かった。
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