呪われし鎧とライダーになろうとする少女

病室・・・

「!?クロト……」

「カノン・立華さん。至急避難の準備をお願いします。」

病室にて、カノンがクロトの身を案じるなか、一人の医者がそう言いながら空いている車椅子を押して入室してくる。

「?私、車椅子は必要なッ!?」

その瞬間、カノンは医者にクロロホルムが染み込んだハンカチを嗅がせられる。

(こいつ……!!)

「くっ……」ガクッ!!

「……許せ……これも『正義』のためだ………」

カノンを眠らせた後、医者、否、医者に化けて潜入していたヒューイはそう言いながらカノンを車椅子に座らせ、病室を後にした。





廊下・・・

「あなた達はあちらの方をお願いします!!」

「はい!!シスターシャッハ!!」

シャッハは病院のスタッフに指示を出し、避難誘導を向かわせる。

「!?あれは……」

その直後、シャッハは自分達が患者や一般人を誘導しているルートとは違うルートを進む、眠らせたカノンを座らせた車椅子を押している白衣姿のヒューイを偶然、目撃する。

「……む?」

「グルルル・・・ッ!!」

眠らせたカノンを運ぶ最中、大型犬並の大きさの銀色の狼・・・リサの使い魔で神狼 フェンリルであるきなこがヒューイの前に威嚇しながら立ちはだかる。

「ちっ……」

対するヒューイは舌打ちしながらも腰のホルスターからマジックガンを引き抜こうとする。

「動かないでください。」

が、後からヒューイを追ってきたシャッハがそう言いながら、背後から起動状態のヴィンデルシャフトを突きつけてくる。

「……何の真似ですか?シスターシャッハ。私は今、避難している最中で」

「下手な芝居はやめてください。本当に避難しているのならこのルートは絶対に通りません。それにあなた……この病院の人間ではありませんね?」

「………」

「今すぐ両手を上げて、その人から離れッ!?」

「!?」

ドカァァァンッ!!

その瞬間、一つの銀色の飛行物体が壁を突き破ってくる。

「くっ!!」

「ッ!!」

その飛行物体にシャッハときなこは思わずヒューイから距離を取る。

その間に飛行物体は変形しながらヒューイの身体を包み込む。

パキィィィンッ!!

次の瞬間、ヒューイはG4に変身する。

「!?銀色のライダー……まさか」

「フッ!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

「「!?」」

G4に変身したヒューイを見て、シャッハがそう言うなか、ヒューイは右腰のホルスターからマジックガンを引き抜き、大量の“魔力弾”を放ってくる。

「くっ!!」

「ガルルルルルッ!!」

ヒューイが放ってきた“魔力弾”をシャッハが持ち前の高速のフットワークでかわしていくなか、きなこはヒューイに襲いかかる。

ガシィィィンッ!!

「ガルッ!?」

(止められた!?)

「………」

が、ヒューイはすぐさまマジックガンを仕舞い、両手できなこの前足を掴み、受け止める。

「フッ!!」

ドカァァァンッ!!

「ガウッ!?」

受け止めた後、ヒューイはきなこの腹に蹴りを入れ、蹴り飛ばす。

「ハッ!!」

「!?」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

蹴り飛ばした後、ヒューイは再びマジックガンを引き抜き、大量の“魔力弾”を放ってくる。

「こちら、『聖王教会』、シスターシャッハから『機動六課』へ緊急通達!!誰か、応答願います!!」

『こちら、『機動六課』、ライトニング1、フェイト・テスタロッサ・アーチャーです。どうしました?シスターシャッハ。』

そんななか、シャッハがフェイトに通信を繋げる。

「現在、『聖王医療院』にホワイトファングとG4が襲撃し、カノン・立華さんが連れ拐われようとしています!!」

『!?カノン義姉さんが!?』

「今、ホワイトファングにはクロトさんや矢渕さん達が、G4には私ときなこが対応していますが……」

『わかりました。こちらも至急そちらに向かいます。どうかくれぐれも無茶しないでください。』

ブツッ!!

ドカァァァンッ!!

「ガアッ!?」

ガクッ!!

フェイトとの通信が切れた直後、きなこが壁を突き破りながら吹き飛ばされ、気を失う。

「!?きなこ!!」

「フッ!!」

「くっ!!」

ガキィィィンッ!!

斬りかかってきたヒューイの実体剣をシャッハはヴィンデルシャフトで受け止めた。
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