初デートと家出少年

「さてと、世話焼きお兄さんが人脈をフル活用してさらに盛り上げてやるか。」

マコトとみゆきを追って店から出て、能力で創造した『天狗の隠れ蓑』(姿を見えなくするだけ)を全員に配り、纏わせた後、蓑を纏いながら二人を見た和也はそう言いながら通信機を取り出し、連絡を取り始める。

『?』

「それにしても、私達の世界でも通用しそうな服があるとは思いませんでした。」

「まぁ、今のこの国の王様が先代の勇者だし。師匠と彩夏さん、秀介さん、夢羽さんの四人も日本人だからな。多分、そこら辺の人達がデザインに口出しして広めたんだろ。」

そんな和也の様子にあかね達が首を傾げるなか、みゆきとマコトはそう話しながら、然り気無く手を繋ぎながら散策する。

「あ。マコトさん。あそこになんか人だかりが……」

「あ?」

そんななか、みゆきとマコトは偶々、できていた人だかりの近くに通りかかり、

「?ナカムラとクロハラ?」

「あ。マコト君。」

「?隣にいるのはみゆきか?」

「どうも。ノゾミさん。セッテさん。」

その人だかりの中にいたノゾミとセッテと顔を会わせる。

「髪を下ろすとまた雰囲気が違うな。」

「普段のツインテールだと可愛い印象だけど、髪を下ろすと綺麗な印象になるね。」

「そ、そうですか?なんかちょっと恥ずかしいですね……えへへ……」

「で、この人だかりは何なんだよ?」

まじまじと見ながらそう言うセッテとノゾミにみゆきが少し照れながらそう言うなか、マコトは首を傾げながらそう尋ねる。

「あぁ、この人だかりは……」

「あれが原因だよ。」

対するノゾミとセッテはそう言いながらある一点を指差す。

「?彩夏さん?」

「!?アリシア・テスタロッサ!?」

そこには人間態の紘汰と高司舞の二人と一緒にプロさながらのストリートダンスを踊る彩夏とアリシア(カイザ)がいた。





十数分後・・・

「んぁーっ!!久しぶりに踊ったなぁ~。」

「だね。それにしても彩夏さんもアリシア(カイザ)さんも良い腕してますね。」

「そうかな?そう言ってもらえるとちょっと嬉しいかな。」

「いやぁ~、良い汗かいたwww」

「四人とも、お疲れさま。」

「どうぞ。タオルと水です。」

一頻り踊り終えた後、そう言う紘汰、舞、アリシア(カイザ)、彩夏の四人に対し、セッテとノゾミはそう労いの言葉をかけながらタオルと水筒を差し入れる。

「おう。サンキュー。」

「ありがとう。」

「で、さっきから私達を見て、固まってる二人がいるんだけど……」

紘汰と舞がそう言いながら受け取るなか、アリシア(カイザ)はマコトとみゆきの二人を見ながらそう言う。

「あ。マコトきゅんとみゆきちゃん、なにせここに……あぁ、デートかwww」

「ど、どうも。彩夏さん。」

「こんにちは。え~と、そちらの人達は?」

笑顔でそう話しかけてくる彩夏に対し、マコトはなんとも言えない表情でそう挨拶し、みゆきは紘汰、舞、アリシア(カイザ)の三人を見ながら、首を傾げながらそう尋ねる。

「あぁ、俺は仮面ライダー鎧武、葛葉紘汰だ。」

「私は高司舞。」

「私は和也達の方の次元の時空管理局所属のアリシア・テスタロッサ。よろしくね。」

「星空みゆきです。あの。私、ストリートダンスって見たのは初めてなんですけど、凄く格好良かったです。」

「フフ……ありがとう。」

「いやぁ~、それにしてもみゆきちゃん、髪を下ろすと雰囲気変わるねぇ~wwwマコトきゅんともラブラブみたいだしwww」

自己紹介しながらそう言うみゆきに舞が笑顔でそう言うなか、彩夏はマコトとみゆきが未だに繋いでいる手を見ながらそう言う。

「え?あ………」カァァァ

「そ、それじゃあ、俺らはこれで失礼します!!」

そんな彩夏の指摘にみゆきは思わず顔を真っ赤にするなか、マコトはそう言いながらみゆきの手を引っ張って、逃げるようにその場を後にする。

そんな二人の後ろ姿を見届けた後、ノゾミ、セッテ、彩夏、アリシア(カイザ)、紘汰、舞の六人は和也の方に向けて、静かに親指を立てる。

「あの様子だと仕込みも上手くいったようだな。」

「ねぇ。和也。」

「あの六人はおまえの仕込みか?」

そんな六人を見ながらそう言う和也に対し、春美と一輝は首を傾げながらそう尋ねる。

「まぁな。さっき、通信機で連絡を取って協力してもらった。後、ノゾミに頼んでちょっとした小道具も二人に仕込ませてもらったよ。」

「?あるもの?」

「一体何を仕込ませたんですか?」

「まぁ、そこは後のお楽しみってやつだ。」

首を傾げながらそう尋ねるやよいとれいかにそう答えながら、和也はあかね達を先導して尾行を再開した。
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