初デートと家出少年

「ん~♪この赤い芋、とっても甘くて美味しいぃ~♪」

「そいつはスゥイッフェルっていうこの世界のサツマイモだな。」

「こっちの芋……色も見た目も俺達がいた地球のと同じだけど、味がすげぇ濃厚だな……っていうか俺、こっちの世界に巻き込まれて召喚されてから長いけどこんな芋、見たことねぇ……」

「あぁ、そっちはさっき、知り合った野菜売りの緑髪の女から仕入れたもんだな。俺もさっき、味見してみたが、結構イケるだろ。」

「?緑髪の女?」

孝治の言った『緑髪の女』という単語に対し、マコトはそう言いながら反応する。

「あぁ、なんでも俺と同じように別世界の住人らしいけど、偶(たま)にこっちの世界に自家製の野菜を売りに来るんだと。名前、なんて言ったかな。風見……」

「もしかして、風見幽香ですか。」

「あぁ、そうそう。そんな名前だったな。」

「?マコトさんの知ってる人ですか?」

「多分、知り合いの知り合いだな。」

「?」

「じゃあ、俺は行くぜ。あばよ。」

曖昧な感じでそう答えるマコトにみゆきが首を傾げるなか、孝治はそう言いながら軽トラを走らせ、その場を去っていく。

「それにしてもこの芋、本当に美味いな。」モグモグ

「マコトさんのも美味しそうですね。」

「……一口、いるか?」

「いいんですか?」

「おう。」

「いただきます♪」

パクッ!!

みゆきはマコトが食べていた焼き芋を一口、食べる。

「!本当!!こっちのもすごく濃厚で美味しい!!」

「だろ。この芋自体の質が良いんだろうな。」

「あ。私のも良ければどうぞ。」

「おう。サンキュー。」

パクッ!!

そうしてマコトもみゆきの焼き芋を一口、食べる。

「おい。あの二人、普通に食べさせ合いしてるんだが……」

「まぁ、あの二人は修学旅行でも恥ずかしがりながらも食べさせ合いをしたことがありますから免疫がついてるんだと思いますよ。」

「なぁ。和也。あの二人を仄かなピンクのオーラが包んでいるように見えるんだが……」

「安心しろ。一輝。俺もだ……まぁ、朱音とティーダ、一翔とスィンに比べたら、まだ薄い方だけどな。」

そんな二人を見ながらそう言う貴利矢になおがそう言うなか、そう言う一輝に対し、和也はそう言う。

「あら。マコトとみゆきちゃんじゃない。」

「白銀。」

「あ。美咲さん。」

そんな和也達の存在を知る由もないマコトとみゆきは偶々、店番をしていた美咲に話しかけられる。

「ん?マミゾウさんはいないのか?」

「この世界や他の世界で仕入れた商品を持って『妖怪の国』の本店に行ってるわ。そういうあなた達はデートかしら。」クスクス

「え、えぇ。まぁ……」

「あ。マコト君とみゆきちゃん。」

「久しぶりぃ~♪」

「お久ぁ~wwwww」

「………」

クスクス笑いながらそう言う美咲にみゆきが少し恥ずかしそうにしながらそう答えるなか、今度はヴィオラ、エレン、零次、悠月の四人がその場に現れる。

「あ。ヴィオラさん。エレンさん。零次さん。と……誰ですか?」

「あぁ、私は紅悠月。よろしく。」

ヴィオラ、エレン、零次にそう挨拶した後、首を傾げながらそう尋ねるみゆきに対し、悠月はそう自己紹介する。

「星空みゆきです。よろしくお願いします。」

「あぁ、あなたが前にノゾミ達が言っていたマコトの年下の彼女ね。見たところ、デートかしら。」

「え、えぇ。まぁ……」

「んでマコトきゅんwwwww」

「マコトきゅん言うな。なんだ?」

「あれからみゆきちゃんとはどこまで進んだ?wwwww」

「どこまで進んだとは?」

「そりゃヤっ」

「「なに白昼堂々とセクハラ発言してんだ!!この雑草イケメンがぁっ!!!」」

ドカァァァンッ!!

「へぶぅっ!?」

零次の言葉の最中、今まで見せたことのないであろう鬼の形相でヴィオラとエレンがそう言いながら顔面パンチを食らわせる。

「ごめんねぇ~。二人とも。」

「ちょっとこのバカをシバいてくるね。」

零次に顔面パンチを食らわせた後、ヴィオラとエレンは(黒い)笑顔でそう言いながら零次の襟首を掴み、路地裏へと消える。

「///」

「……あのバカ……」

「じゃあ、私もあのバカの折檻に行くから。それと……」

「ん?」

「……後ろに気を付けた方が良いわよ。」

和也達の方を見ながら、悠月はそう言ってから零次への折檻に加わるべく路地裏へと消えていった。
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