地獄の妖精と月の民

紗夜の記憶・・・

『日菜!!日菜!!死なないで!!日菜!!』

何処かの山の中にて、水色のロングヘアーの少女、紗夜が血塗れになった水色のショートヘアの少女、双子の妹である日菜を抱きながら、涙を流しながらそう呼びかける。

が、日菜は既に事切れているのか、反応はなく、その身体は酷く冷たくなっている。

『どうして……どうして、私よりも才能があるこの子が……』

『忘れたかい?紗夜。彼女達は管理局だ。そして、君の大事な妹の命を奪った、君の敵だ。彼女の仇を討つことが妹のためになるんだよ。』

『!?』

そんななか、白衣に茶色いサングラスをした男がそう紗夜に囁きかける。

『……時空管理局……!!』

『さぁ、愚かな正義を正すために、我々と共に立ち上がろう……』

管理局に憎悪を向ける紗夜に対し、男はそう言いながら手を差し出した・・・

(これが紗夜がホワイトファングに入った経緯いきさつか……しかし、なんか妙だな……これは本物の記憶なのか……?)

そんな過去の記憶を“メモリアルリーク”で視て、違和感を感じた和也はそう思いながら意識を集中させて、さらに奥の方を視る。

すると、断片的ではあるが、先程の悲劇的な記憶とは違う記憶が視えてきた。

断片的な記憶・・・

場所は何処かのライブ会場。客席は見事に満席だった。

パンッ!!

(!?カオリ!?)

ワァァァーーーッ!!

「「「アリサァァァーーーッ!!」」」

次の瞬間、スポットライトに照らされながら現れた、カオリに瓜二つな桃色の髪の少女を視て、和也がそう困惑の声を上げるなか、会場内は大盛り上がり。観客として来ていた氷川姉妹と黒髪の少女、花園たえの三人も舞台上の少女、鳴護アリサの名前を叫びながら盛り上がる。

(!?この記憶……さっきの記憶より新しい!?ということは)

現実・・・

「ッ!!」

断片的な本来の記憶を視ながら、そう思いながら無防備になっている和也に対し、紗夜は左手の爪で斬りかかろうとする。

「ッ!!」

ズガガガガァンッ!!

「くっ!?」

そんな紗夜の殺気をすぐさま察知した和也は視るのをやめ、紗夜の腹部に右手を当てて、パルマフィキオーナ掌部ビーム砲をゼロ距離で四連射で食らわせ、吹き飛ばす。

「くっ……」

「おまえ、まさか……」

吹き飛ばされた後、そう言いながら体制を立て直す紗夜に対し、和也は真剣な表情でそう言う。

「?」

そんな和也の様子に紗夜が首を傾げるなか、

ズガァァァンッ!!

「「!?」」

突然の地響きと共に二人の近くに土煙が発生する。

ズシッ!!・・・ズシッ!!

次の瞬間、土煙の中から黄緑の装甲を纏った白い獅子のようなZ装備が現れる。

「漸く見付けたわよ……一号機!!」

次の瞬間、ライガーゼロ・イェーガーの強奪の報せを受けた佑人が新たに開発した第二のZ装備、ライガーゼロ・パンツァーを装備した佳奈多は鋭い眼光で紗夜を睨み付けながらそう言う。

「ッ……新たなZ装備、しかも装着者は二木佳奈多ですか……流石に分が悪いですね。一時撤退を」

「させる訳ないでしょ!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

本郷と共に救援に駆けつけた佳奈多を見て、そう言いながら撤退しようとする紗夜に対し、佳奈多はそう言いながら全身のミサイルポッドからミサイルを放つ。

「くっ!!」

対する紗夜はイェーガーの機動性を活かしながら、ミサイルをかわしながら離脱しようとする。

「……そこっ!!」

「!?」

ズガアアアァァァンッ!!

そんななか、佳奈多はそう言いながらハイブリットキャノンで狙い撃ち、紗夜の片方のブースターを破壊する。

「ハッ!!」

「「!?」」

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァンッ!!

が、紗夜はすぐさま頬部のバルカンポッドと尻尾のフライングバルカンポッドで佳奈多と和也の足元に銃弾を撃ち込み、発生させた砂煙で二人の視界を潰す。

次の瞬間、紗夜の姿がその場から消えた。
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