地獄の妖精と月の民

「消えた!?」

「一体何処に……」

「落ち着いて。少なくとももう近くにはいない。」

毒サソリ男と戦闘員達が消えたことにそう困惑の声を上げるノゾミ達に対し、カオリは遠くを見据えながらそう言う。

「それより、今はこの子から話を聞かないとね。」

カオリはそう言いながらサグメに近寄る。

つ『あ、ありがとうございます………』

「(クスッ)どういたしまして。あなたのお名前は?」

つ『私は稀神サグメ。誇り高き月の民です。』

「やっぱり稀神サグメなのね。」

「誇り高いくせにショッカーから逃げ回ってたのかwwwwwワロスwwwww」

つ『(# ゜Д゜)ムカッ!!』

「サグメちゃん。サグメちゃんはなんでショッカーに追いかけられてたの?」

零次の発言にイラッとするサグメに対し、ノゾミは首を傾げながらそう尋ねる。

つ『私は元の世界で月の都に侵入した間抜けな妖怪を地獄へ連行している最中、訳のわからんオーロラに突っ込んでしまい、いつの間にかこの世界に迷い込んでしまったんです。』

「間抜けな妖怪って……」

「オーロラって『Xマジンラー』が使っているやつかな?」

「可能性はあるね。っていうかサグメちゃんは普通に喋れないの?」

サグメの『間抜けな妖怪』発言にセッテが苦笑いしながらそう言うなか、首を傾げながらそう言うヴィオラにそう言いながら、エレンは首を傾げながらそう尋ねる。

つ『できなくはないんですが、能力の暴発を防ぐために発言はなるべく控えるようにしているんです。』

「能力?」

「サグメちゃん。サグメちゃんの能力ってどういったものなの?」

対するサグメからの答えにヴィオラが首を傾げながらそう言うなか、ノゾミはサグメの能力について、首を傾げながらそう尋ねる。

つ『私の能力は『口にした事象を逆転させる』程度の能力です。故に軽々しく発言すれば大変なことになります。』

『まるで天の邪鬼の強化版みたいな能力だな。』

『便利なような不便なような……使い所に困る能力ね……』

「あれ?でも、自己紹介くらいはできるよね?いちいちスケッチブックを見るのもアレだし、普通に話してみたらどう?」

サグメの能力について、ファルコンメモリとキャロルメモリがそう言うなか、セッテが首を傾げながらそう言う。

「………」

対するサグメは一旦瞳を閉じる。

「あ、ああああの!!わ、わわ私は月の都から来たサグメってい、いい言います!!あ、あんまりひ、人と話すのはは、はず恥ずかしいので!!月の都には殆んど人がいなかったし!!///」

次の瞬間、サグメは目にハイライトが入り、顔を真っ赤にしながら、可愛らしい声でそう自己紹介を始める。

「「「「「「「『『『『『!?』』』』』」」」」」」」

そんなサグメのギャップがノゾミ達に衝撃を与える。

「あ、あと、えっと、それでね。クラウンピースっていう妖怪も迷子になっちゃったみたいで探してるんだけど!!み、みみみ道がわからなくて!!変態さん達に追いかけ回されるし!!わ、私、どうしたら……!!///」

「「「「「「ッ~~~!!」」」」」」

サグメのあまりのギャップにノゾミ、セッテ、ヴィオラ、エレン、美咲の五人+いつの間にか人化したキャロルメモリことキャロルが悶えるなか、

「サグメちゃん、かぁいいぃーーーっ!!」ガバッ!!

カオリがそう言いながらサグメを抱きしめる。

「ふぇ?ふえええぇぇぇーーーっ!?///」

「♪」スリスリ

「『『『なにこのカオス。』』』」

いきなり抱きしめられ、困惑するサグメにカオリが笑顔で頬擦りするなか、ブライアンメモリ、エンリュウメモリ、ファルコンメモリ、零次の三本と一人はそう言った。

「くっ……まさか、仮面ライダーが四人も現れるとは……」

その頃、ノゾミ達の前から一時撤退した毒サソリ男はそう言いながら、生き残った数体の戦闘員と共に森の中を歩いていた。

「驚いたね。まさか、あのショッカーもこの世界に来ていたとはね。」

「「「「「「!?」」」」」」

そんななか、何処からか、悠姫がそう言いながら現れる。

「何者だ!?貴様!!」

「ボクは緋之宮悠姫。『Xマジンラー』のメンバーの一人だよ。」

戦闘体制を取りながらそう尋ねる毒サソリ男に対し、悠姫は冷静にそう答える。

「『Xマジンラー』……我らと同じように様々な世界で暴れている組織か……」

「そう警戒しなくても良いよ。少なくともボクは君達に敵対する気はないから。」

睨み付けながらそう言う毒サソリ男に対し、悠姫は両手を上げながらそう言う。

「場合によっては君達、ショッカーの目指す世界征服に協力してあげても良いよ。」

「なに?」

「君達がボクの計画に乗っかってくれるならね。」

首を傾げながらそう言う毒サソリ男に対し、悠姫はポーカーフェイスのまま、そう持ちかけた。
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