波乱万丈!修学旅行!!

「はぁ……はぁ……」

「………」

フィフティーン・ドライブアームズに変身した悠姫は今、ソングに変身し、プロテクターを一つ外したカオリに苦戦し、片膝を着いていた。

(くっ……プロテクター一つを外しただけでここまでとは……)

「教えて。あなたはどうして『Xマジンラー』なんかに所属し、協力してるの?」

珍しく肩で息をしながらそう思う悠姫に対し、カオリは真剣な表情でそう尋ねる。

「ッ……あなたに答える必要はない。と言いたいところだけど、ボクをここまで追いつめたあなただ。その強さに敬意を賞して答えるよ……」

「………」

「ボクにはどうしても果たしたい目的がある……その目的を果たすためにこの組織に入った……」

「……その目的っていうのは?」

「……病気で死んだ、ボクにとって大切な人をこの世に甦らせること。そして、今のボクと同じ長命な種族に変えることだ……」

「!?」

「彼との時間を取り戻すためならボクは何だってする。今までも……これからも…っ!!」

悠姫の目的にカオリが驚愕の表情を浮かべるなか、悠姫はそう言いながら立ち上がり、ハンドル剣とドア銃を構える。

「……君の気持ちはわかるよ。でもね。たくさんの犠牲の上で得た命にその人は喜ぶと思ってるの?そんなことをしたら、その人も一生、罪を背負って生きていくことになる!!あなたがそうしたいだけならそれで良い!!でも、それはただの偽善でしかない!!そんなのに生き返らせたいのなら自分を犠牲にすれば!?共に生きたいからそれはしない!?甘ったれんな!!たくさんの命を犠牲にしといて、そんな都合の良いこと考えんな!!あなた一人の願いに何の関係のない命を巻き込むな!!!」

そんな悠姫に対し、カオリは怒りを露にしながらそう言う。

「ッ!!絶望を知らないあなたに何がわかる!!」

『ドライブ!!スカッシュ!!』

『必殺!!あ、フルスロットル!!』

ドンッ!!

対する悠姫はそう言いながら紫のエネルギーロードに乗り、超スピードでエネルギーを纏わせたハンドル剣で斬りかかってくる。

「ッ!!」

カオリはマイ君で応戦しようとする。

ガキィィィンッ!!

が、瞬発的な出力の差か、悠姫のハンドル剣によってマイ君が叩き折られる。

「くっ……まだ、これ程の“力”を!!」

「ボクは一度、彼の死の運命を変えるために、助けるために!!自分の命を彼に分け与え、運命を司る神と自分の命を死期の対価に契約し、彼の運命を変えてくれと頼んだ!!なのに神は彼に分け与えたボクの命を奪い、まだ長く、余裕はあった筈の彼の病による死の運命の時期を早めた!!だからボクは神を殺し、自分の命を取り戻した!!そして、無関係だろうと巻き込むことに決めた!!偽善!?そう言いたければ言えばいい!!例え……彼が望んでいなくても!!!」

マイ君を叩き折られた後、カオリがそう言うなか、悠姫はそう言いながら新たなレプリカライダージュエルを取り出す。

(聞こえるか?悠姫。)

「!?」

が、その瞬間、燐からの念話が入ってくる。

(燐兄……)

(もう少ししたら『実験』も行うから退けだという総帥からのお達しだ。)

(……了解……)

「どうやら勝負はここまでのようだ。」

ジィィィ・・・ッ!!

悠姫がそう言った瞬間、背後にクラックが出現する。

「じゃあね。」

次の瞬間、悠姫はクラックの中へと消えていった。

「ッ……逃げられた……」

カオリさんはそう言いながら叩き折られたマイ君を一瞥し、叩き折られる本の一瞬の隙に奪い取ることに成功したみゆきのスマイルパクトを見る。

(とりあえずスマイルパクトを取り返すことはできたけど、あの悠姫って子……あの子がやろうとしていることは何がなんでも止めないと……あの子の恋人やあの子自身のためにも……)

カオリはそう思いながらスマイルパクトと叩き折られたマイ君を仕舞い、代わりに神機型の魔武器、ポラリスⅡを取り出し、サナギ体ワームや低級ロイミュードとの戦闘を始めた。
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