力の意義

「だから、私は諦めない……この『龍の力』も『希望の力』に変えてみせる……」

「………」

純粋かつ真剣な表情でそう言うノゾミに対し、闇梨紗は思わず呆けた表情を浮かべる。

「……ぷっ♪……あはははははっ!!」

「「!?」」

が、突然、笑い出す。

「あーぁ……純粋で素直な子だと思ったけど、ここまで来ると面白いわね。」チャキッ!!

一頻り笑った後、闇梨紗はそう言いながら蝶炎を鞘に納める。

「楽しいお話をさせてくれた礼に良いことを教えてあげる。」

「「?」」

「あなたがここでメンタルケアをしている今が好機とみたのか、『Xマジンラー』は大量のデスアーミーとディカーダを『ウェズペリア』に送り込んだわ。」

「「!?」」

「ノゾミ。あなたがさっき言った答えを貫くなら早く助けに行きなさい。邪魔はしないから。」

闇梨紗はそう言いながら近くのベンチに座り、足を組む。

「ッ!!」

(セッテ……皆……っ!!)

パァァァ・・・

「!?」

「………」

そんななか、ノゾミがそう思った瞬間、白銀が混ざった空色の光がノゾミを包み込む。

次の瞬間、ノゾミの姿がその場から消える。

「……NSで次元移動までできるようになるとはね……益々面白い子だわ……」

「おまえ……一体何を考えている……?」

ノゾミがNSを使って『ウェズペリア』に向かって飛んでいった後、不敵な笑みを浮かべながらそう言う闇梨紗に対し、天道は真剣な表情でそう尋ねる。

「別に。私はただやりたいようにやるだけよ。」

対する闇梨紗はそう答えながら空を見上げる。

(最初は『メインディッシュ』の前の『前菜』として喰べるために寝かせるつもりだったけど、気が変わった……見届けてあげるわ。ノゾミ。セッテ……あなた達がそのまぼろしに何時まで拘っていけるかをね……)

「さて、お話をする相手もいなくなったし、私もこれでおいとまさせてもらうわ……またね♪」

・・・スゥ・・・

次の瞬間、闇梨紗はそう言いながら霊体化してその場から消えた。

次元の狭間・・・

ノゾミは龍の翼を羽ばたかせて、『ウェズペリア』へと向かう。

「私はもう逃げない……だから、お願い。私の中に目覚めた龍……あなたの“力”を貸して……」

パァァァ・・・

ノゾミがそう言った瞬間、ノゾミの身体が白銀が混ざった空色の光に包み込まれた。
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