力の意義

異世界、『アクエリアス』、『カセドラル王国』、『安らぎの縁側』・・・

「お待たせしました!!『トーフのヘルシーハンバーグセット』です!!」

『Xマジンラー』による六度目の襲撃事件から約一ヶ月後、リサの元で三日間の昏睡状態から目覚め、立ち直るまでの間、預けられることになったノゾミは今、『安らぎの縁側』のエプロンに身を包み、リサの店の手伝いをしていた。

「ありがとう。ところであなた、見ない顔だけど新人さん?」

「はい。期限付きではありますが、ここでお手伝いさせてもらっています。」

首を傾げながらそう尋ねる常連客である貴婦人に対し、ノゾミは笑顔でそう答える。

因みに『期限』というのはノゾミが立ち直るまでの間でその判断はリサに一任されている。

「ノゾミちゃん。最近、笑うようになりましたね。」

「ハル。ノゾミのあれは俺達に心配させないためのものだ。ノゾミの本来のものじゃない。」

そんなノゾミを見ながらそう言う従業員のハルに対し、同じく従業員でカオリの彼氏である、何故か『アクエリアス』にトリップしてしまった仮面ライダーカブトこと天道総司はそう言う。

「え?」

「あ。やっぱり天道君も気付いてたんだ。」

「リサさん。」

ハルが思わずそう呆けた声を上げるなか、リサがそう天道に話しかける。

「上手く誤魔化してはいるが口角が極僅かに引き摺ってるからな。わかる奴にはわかる。」

「まぁ、ノゾミちゃんは優しいからね。未だに自分に目覚めた新しい“力”を受け入れられず、悩んでいるけど、それを表に出さないように頑張ってるんだよ。」

作業しながらそう言う天道に対し、リサは接客に励むノゾミを見ながらそう言う。

三日間の昏睡状態から目覚めた後、ノゾミは自分に割り振られた部屋に三日間、引きこもっていた。

部屋から出て、店の手伝いをするようになってからは周りに悟られないよう、笑顔を絶やさないようにし、部屋に戻ってから一人、蹲って泣いていた。

「………」

「その様子だとアレも上手くいってないのか?」

「うん。龍石のおかげで暴走してないけど、やっぱり初めて半龍化した時のことがトラウマになっているみたいで龍化処か半龍化も上手くできないんだ……」

真剣な表情でそう尋ねる天道に対し、リサは以前したノゾミとの会話を思い起こしながらそう答えた。
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