今度は臨界神と縁魔神が来ました

『魔女の家』、最上階、エレンの部屋・・・

「はぁ……はぁ……漸く着いたわ……」

「いらっしゃい。思ってた以上に遅かったわね。」

所々、ボロボロになり、息も切れ切れになりながら部屋に辿り着いたウィッチドーパントに対し、エレンは不敵な笑みを浮かべながらそう言う。

「ここまで来れば殺れる!!あんたを殺して、ここから出てあの落ちこぼれも殺してやる!!闇の竜よ。総ての光を食らい、深淵さえも呑み込め!!“ダークネスイレイザードラゴン”!!!」

ズオオオォォォーーーッ!!

ウィッチドーパントがそう詠唱した瞬間、ウィッチドーパントの身体から闇の魔力が溢れだし、以前、ラースに放った時よりも巨大な黒い竜の頭を形成する。

「へぇ……」

「行け!!」

『ギャオオオォォォーーーッ!!』

ガシィィィンッ!!

“ダークネスイレイザードラゴン”を見て、エレンがそう関心の声を上げるなか、ウィッチドーパントはそう“ダークネスイレイザードラゴン”に命令し、“ダークネスイレイザードラゴン”はエレンに襲いかかり、丸呑みにする。

「はぁ……はぁ……これで」

「“ダークカッター”。」

「!?」

ブォンッ!!ズバァァァンッ!!

そう言うウィッチドーパントの言葉の最中、“ダークネスイレイザードラゴン”の中からそう言うエレンの声と共に三日月状の闇の刃、“ダークカッター”が飛び出し、ウィッチドーパントの右腕を杖ごと両断する。

「……ヒッ!?……ギャアアアァァァーーーッ!!?」

「破壊の力から生まれし竜よ。その滅びの力を以て、敵を消し去れ。“ルインズドラゴン”。」

『!?』

ドカァァァンッ!!

両断された右腕から流れる血を見て、ウィッチドーパントがそう恐怖と苦痛の声を上げるなか、そう詠唱するエレンの声が聞こえると同時に“ダークネスイレイザードラゴン”が内側から破裂するように爆発する。

『グルルル・・・!!』

次の瞬間、先程まで“ダークネスイレイザードラゴン”がいた所に紫のオーラで形成された、金色の瞳を持つ巨大なドラゴンが現れる。

「な、なに?これ……」

「これは“ルインズドラゴン”。ノゾミちゃんのお母さんが使う神級魔法、『七竜セブンスドラゴン』を参考に私が独自に編み出した破壊属性のオリジナル神級魔法よ。」

紫のオーラのドラゴン、“ルインズドラゴン”を見て、思わず固まりながらそう言うウィッチドーパントに対し、“ルインズドラゴン”の頭の上にいたエレンがそう説明する。

「!?神級魔法!?しかもオリジナル!?」

「魔力をかなり使うから普段はあまり使わないけど、この固有結界のもう一つの効果、『負の感情の魔力への変換、吸収』を利用することで問題なく使えるわ。」

「?負の感情の魔力への変換?」

エレンが言った『魔女の家』に隠されたもう一つの効果、『負の感情の魔力への変換』という言葉にウィッチドーパントは首を傾げる。

「あなた、この部屋に来るまでの間、何回も罠にかかって死んだでしょ?その時に抱いた死への恐怖や私に対する憎しみをこの『家』は魔力に変換し、私に還元してくれてたの。だから、私はこの“ルインズドラゴン”を使えたわけ。」

『グルルル・・・』

そんなウィッチドーパントにエレンがそう説明するなか、“ルインズドラゴン”はブレスを放とうとする。

「あ。言い忘れてたけど、この部屋で魔法や能力が使えるようになると同時にあなたに対するこの『家』の復活効果が無効化される。つまり、この部屋での死があなたにとっての本当の死………」

「!?」

「“ダークネスチェーン”。」

ジャラララッ!!

エレンがそう言った瞬間、ウィッチドーパントの足元から闇の鎖、“ダークネスチェーン”が現れ、ウィッチドーパントを拘束する。

「ま、待って!!私達は悪魔に唆されたの!!だから、話を」

「ねぇ。この言葉を知ってるかしら?」

拘束されると同時に命乞いを始めたウィッチドーパントの言葉を遮りながら、エレンはそう尋ねながらある言葉を口にする。

「『魔女の誇りを傷つけた者は未来永劫、呪われよ。』」

『グオオオォォォーーーッ!!』

ズガアアアァァァーーーンッ!!

エレンがそう言った瞬間、“ルインズドラゴン”は破壊の“力”が込められたブレスをウィッチドーパントに向けて、放つ。

『デスティニー!!マキシマムドライブ!!』

が、その瞬間、そう言う音声と共に時が止まる。

「あ~あ……やられそうになりやがって……元闇王って言っても結局は魔力が多いだけの人間のガキか……使えねぇなぁ……」

デスティニー運命メモリのマキシマムドライブによって一時的に時間が止まった『魔女の家』内にて、右半身に紅の炎、左半身に黄金の炎を纏い、赤と黄金のグラデーションで彩られた鳥類の翼を模したマントを持つ、複眼がバイオレットの漆黒の仮面ライダー・・・フェニックスメモリとデスティニーメモリ、『Xマジンラー』製の漆黒のダブルドライバー(アームドライバーとは違う)でオリジナルダークライダー、仮面ライダーエンドに変身したガミジンはそう言いながら、ウィッチドーパントに歩み寄る。

ドスッ!!

歩み寄った後、ガミジンはウィッチドーパントの生体コネクタがあった肩甲骨辺りに左手の親指と人差し指、中指を突き刺す。

「ん~……!あったあった……」ズボッ!!

次の瞬間、ガミジンはそう言いながら、突き刺した三本の指でウィッチメモリを抜き取る。

シュウウウ・・・

それと同時にウィッチドーパントはウザ副会長の姿に戻る。

「まぁ、このウィッチメモリの直挿しでのデータを取るための実験体としては役に立ったか……じゃあな。」

・・・スゥ・・・

ガミジンがそう言いながら陽炎のように消えると同時にデスティニーメモリのマキシマムドライブの効果も消える。

「きゃあああぁぁぁーーーっ!!?」

ズガアアアァァァーーーンッ!!

次の瞬間、ウザ副会長は自分の姿が元に戻っていることに気付く間もなく“ルインズドラゴン”のブレスに呑まれ、消滅した。
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