今度は臨界神と縁魔神が来ました

セッテVS勇者(屑)・・・

「はぁ……はぁ……」

その頃、ウィッチドーパントやバーサーカードーパントと同様、断片化していた勇者(屑)が展開した『領域』で能力を封じられたセッテは今、イージスに変身して戦っていた。

「フフフ……」

が、エクスカリバーとヴァンディルドを装備した勇者(屑)を相手に苦戦している。

(くっ……おかしい……こいつと戦い始めてからそんなに時間が経っていないのに……魔力や体力の消耗が今までより激しすぎる!!)

「フフフ……」

ズドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

セッテが肩で息をしながらそう考えるなか、勇者(屑)は不敵な笑みを浮かべながら大量の“ホーリーバレット”を放ってくる。

「くっ……クロックアップ!!」

『Clock Up』

勇者(屑)が放ってきた大量の“ホーリーバレット”に対し、セッテはクロックアップを使い、超光速の世界に入ることでかわす。

「クロックアップ!!」

『Clock Up』

が、その瞬間、仮面ライダーでもNS覚醒者でもない筈の勇者(屑)もまた、生身でクロックアップを使って、超光速の世界に入ってくる。

「!?」

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

勇者(屑)が生身でクロックアップを使ってきたことに驚愕するセッテに対し、勇者(屑)はそう言いながらヴァンディルドで殴りかかってくる。

「くっ!!」

ガキィィィンッ!!

対するセッテはそう言いながら、イージスソードで受け止める。

「!?」

が、その瞬間、セッテは凄い脱力感に襲われる。

「フフフ……君のおかげで僕は勇者としてまた一つ、進化することができる……」ガキキ…

「!そうか……このモーニングスターか!!このモーニングスターでおまえは私の“力”を!!」ガキキ…

「そう。この『魔槌 ヴァンディルド』のおかげだよ。これは元々『触れたもののあらゆるステータスを半分にする』能力があるんだけど、組織の調整でその半分にした“力”を僕とエクスカリバーに還元することができるようになったんだ。」ガキキ…

鍔迫り合いをしながら、顔を歪ませながらそう言うセッテに対し、勇者(屑)は不敵な笑みを浮かべながらそう説明する。

そう。セッテの魔力と体力の消耗が今まで激しかったのはヴァンディルドで削り取られていたから。

勇者(屑)がクロックアップすることができるのもセッテのイージスとしての“力”も半分削られ、奪われていたからだった。

「このヴァンディルドで僕はもっともっと強く進化してみせる……ノゾミさんを救いだし、手に入れるその時まで!!!」

ガキィィィンッ!!

ドカァァァンッ!!

「くっ!?」

殆んど狂った瞳でそう言いながら、勇者(屑)は鍔迫り合いをしていたイージスソードを弾き上げ、蹴り飛ばす。

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

ズバアアアァァァンッ!!

蹴り飛ばした直後、勇者(屑)はそう言いながらエクスカリバーで黒が混ざった金の光の斬撃を放ってくる。

「きゃあああぁぁぁーーーっ!?」

『Clock Over』

パァァァ・・・ドサッ!!

勇者(屑)の斬撃を受けたセッテはクロックアップが解除されると同時に変身も解除されながら倒れ込む。

「くっ……」

右手首のライダーブレスにセットされてイージスゼクターもダメージを負ったのか、殆んど罅が入っていた。

「フフフ……勝負ありだね……」

「くっ……」

倒れ込んだセッテに対し、勇者(屑)はそう言いながらエクスカリバーを突きつける。

「フフフ……如何に強い戦闘機人でも所詮は人に造られた人形……進化し続ける勇者である僕には勝てなかったね……」

「くっ……何が進化だ……おまえのは『進化』じゃない……」

「なに?」

肩で息をしながらそう言うセッテの言葉に対し、勇者(屑)はそう言いながら眉を潜める。

「『進化』っていうのは『大切なもの』を護るために自らが死に物狂いで努力して、時には仲間と助け合って得るものだ……だが、おまえのは違う……他者から『略奪』した“力”を使っているだけだ……」

対するセッテは勇者(屑)を睨み付けながらそう言う。

「なにそれ、バッカみたい。『進化』ってのは強い奴が選ばれて得られるものだよ。そして、僕は勇者として選ばれ、このヴァンディルドにも選ばれた強者……だから、『進化』もまた、僕を選ぶ!!他の誰でもない、この僕を!!!」

「おまえは……勇者の器でもなければ、強者でもない……ただの屑だ……」

「………」
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