半妖と女神と歌姫

王城前・・・

「「はぁ……はぁ……」」

克己と加頭は今、互角の戦いを繰り広げている。

否、エンペラーに強化変身した克己の方が僅かばかり加頭を押していた。

「そろそろ決着を着けてやる……」

『エンペラー!!マキシマムドライブ!!』

克己はそう言いながらドライバーからエンペラーメモリを引き抜き、エターナルエッジのマキシマムスロットにセットする。

パァァァ

すると、緑のオーラがエターナルエッジの刀身になり、長剣程の長さになる。

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

ズバアアアァァァンッ!!

克己がそう言いながらエターナルエッジを横凪ぎに振るった次の瞬間、緑のオーラは刃になり、加頭に止めを刺そうと向かっていく。

「あぁ、悪いけど、この勝負の続きはまた今度にさせてもらうわ。」

『!?』

ズバアアアァァァンッ!!

が、いつの間にか加頭の目の前に現れた闇梨紗がそう言いながら、黒炎を纏った蝶炎で克己が放った“エンペラーヘルスラッシュ”を斬り裂く。

『!?』

「!?リサ!?」

『!?姉さん!?』

突然、乱入し、克己の“エンペラーヘルスラッシュ”を斬り裂いた闇梨紗を見て、彩夏、秀介、ヴィヴィオ、ラミ、克己、ポセイドン、ツキトの七人が驚愕の表情を浮かべ、スィンと夢羽はそう困惑の声を上げる。

「まさか、あなたがここに来るとは……」

「本当はただ退屈しのぎに観戦しに来ただけだけどねぇ……あんた達のボスからの伝言よ。例のロストロギアってのを回収できたから戻ってこいだって。」

「はぁ!?せっかく盛り上がってきたのに冗談じゃねぇ!!俺はまだ戦うぜ!!」

闇梨紗から伝えられたカンナギからの帰投命令に対し、先程までポセイドンとほぼ互角の戦いをしていたフェニックスはそう言いながら戦闘を続行しようとする。

「……へぇ……」ニヤァ

「!?」

バビュンッ!!

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

が、闇梨紗が邪悪な笑みを浮かべながらそう言った瞬間、フェニックスは凄い勢いで闇梨紗の前で土下座しながらそう連呼し始める。

「はいはい。わかったからさっさと帰りなさい。じゃないと……殺すわよ?」

「ッ!!」

パァァァ

「零斗君。引き上げますよ。」

「チッ……」

闇梨紗が殺気を出しながらそう言った瞬間、フェニックスはすぐさま銀のオーロラを出現させ、加頭と零斗もフェニックスと合流してオーロラの中に消える。

「ッ……あなた……私達の知っているリサじゃないわね……」

「えぇ。私はあなた達の知っている『私』じゃない……あなた達の知る『リサ』とは違う、闇が世界の真理、人間の本質だと悟った梨紗よ……」

その後、警戒しながらそう尋ねるスィンに対し、一人残った闇梨紗は邪悪な笑みを浮かべながらそう答える。

「!そうか……おまえがアーチャーが言っていた……」

『こいつらは殺るのか?主。』

『ッ!?』

秀介がそう言いながら闇梨紗を睨み付けるなか、そう言う蝶炎の言葉を聞いて、スィン達は戦闘体制を取りながら警戒する。

「そうねぇ……どうしようかしら……」

闇梨紗はそう言いながら考える素振りをする。

「……既に疲弊している奴らを潰しても面白くないわね……もう十分愉しめたし、ここら辺で私もお暇(いとま)させてもらいましょうか……じゃあね♪」

・・・スゥ・・・

闇梨紗はそう言いながら霊体化し、その場を去っていった。
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