半妖と女神と歌姫

ジンガとアミリを先に離脱させ、一人だけ残ったカンナギに対し、一翔達は一挙一動を注視しながら警戒する。

「カンナギ……一つ、聞きたいことがある……」

「なんだ?」

「……おまえ……本当にレム・カンナギか?」

そんななか、映司は真剣な表情でそうカンナギに尋ねる。

「どういうことだ?映司。」

「上手く説明できないけど、今のこいつからは前に弦太郎君と協力して戦った時とは違う邪悪な何かを感じる……」

「確かに……『冥界神』で『伊邪那美』でもある僕から視ても奴から感じる“力”は人間のそれじゃない……!!」

首を傾げながらそう尋ねるアンクに映司がそう答えるなか、一翔は真剣な表情でカンナギを睨み付けながらそう言う。

「ククク……」

ズズズ・・・ッ!!

『!?』

そんななか、カンナギがそう笑みを浮かべた瞬間、カンナギの身体から黒い霞のようなものが現れる。

程なくして霞はカンナギの隣で黒幕である影法師の姿に変わる。

「誰だ?てめぇは……」

「……我が名は『邪心王 影法師』……『Xマジンラー』の真の総帥……」

「邪心王だと?」

睨み付けながらそう尋ねるマサヒロに対し、影法師がそう名乗るなか、アンクは怪訝な表情でそう言う。

「というか『Xマジンラー』の真の総帥って……」

『では、隣にいるカンナギは……』

「この男は時空の狭間で見つけた我が器……我が『マジンラー』の残党や財団Xの残党等、貴様等のような光の戦士達に敗北した悪の組織の残党達を集め、『Xマジンラー』を創設、統括するための肉体に過ぎない……」

「ウチらは別に光の戦士と名乗った覚えは皆無なんだけどな……そんな一大組織を立ち上げて、一体何を企んでいる?」

そう言うサクヤ&ツバキにそう言う影法師に対し、月詠は睨み付けながらそう尋ねる。

「我の最終目的はただ一つ。貴様等、光のもの達を消し去り、全てを絶望の闇に包み込むこと……」

「ッ!!そんなこと、させるか!!」

「映司!?」

キキキィンッ!!

『スキャニングチャージ!!』

「せいっやあああぁぁぁーーーっ!!」

映司はそう言いながら、“タトバキック”を影法師とカンナギに食らわせようとする。

「重力変動ー反発。」

「!?」

ドカァァァンッ!!

が、影法師がそう言った瞬間、影法師から強力な斥力が発生し、映司を吹き飛ばす。

「うわっ!?」

「映司!!」ガシッ!!

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

『!?』

ズガアアアァァァーーーンッ!!

吹き飛ばされた映司をアンクが受け止めるなか、影法師は今度は強力な闇の波動を放ってくる。

「「「ッ!!」」」

パァァァ・・・

一翔、月詠、マサヒロの三人は咄嗟に結界を三重にして展開する。

ズガアアアァァァーーーンッ!!

が、影法師が放った波動は三人の結界を破壊し、本来なら月詠の“世界時間停止”によって壊れない筈の周りの建物まで倒壊させる。

「くっ……皆。大丈夫か?」

「な、なんとかね……」

「しかし、俺ら三人で展開した結界処か月詠の“世界時間停止”で影響を受けない筈の建物まで破壊するとは……」

『偶然にも周りに私達以外の人や生き物がいなかったことが幸いしましたね。』

「せやな。」

「防がれたか……まぁいい……今のはただの挨拶だからな……」

結界を破壊されたもののなんとか防ぎきった後、そう確認をしてくる一翔に月詠がそう言い、建物まで破壊されたことにマサヒロがそう言い、巻き込まれた存在がいなかったことにツバキとサクヤがそう言うなか、影法師はそう言いながら再びカンナギに憑依する。

「さて、今回の我々の目的は達した……ここら辺で私も失礼させてもらうよ………」

パァァァ

カンナギはそう言いながら、背後に銀のオーロラを出現させる。

「!?待て!!」

「さらばだ。光のもの達……また遭おう……」

カンナギはそう言うと、オーロラの中に消えていった。

「くっ……後から直すの大変なんだから無駄に物を壊していくなっての……」

「激しく同感。」

カンナギが去っていった後、一翔と月詠はそう言った。
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