半妖と女神と歌姫

『主よぉ……本当にあの小娘共は殺さなくて良かったのかぁ?』

霊体化し、ノゾミ達の戦いの場から離脱した後、鞘に収まった蝶炎はそう闇梨紗に話しかける。

「えぇ。彼女達の実力は怪人達やあの転生者との戦いを観る限り、十分及第点。いや、まだまだ延びる。なんせ私の殺気を浴びながらも動き、私の一挙一動を注視していたんだから。」

対する闇梨紗は邪悪な笑みを浮かべながら、ノゾミやセッテ達の戦いぶりを思い起こしながらそう答える。

「『メインディッシュ』の前の『前菜』として『喰べる』にしても美味しく寝かせておいた方がイイ……でしょ?」

『クク……確かに……』

(少し良いか?闇梨紗よ……)

闇梨紗と蝶炎がそう話をするなか、カンナギからそう言う“念話”が入る。

「なによ。『影法師』。何の用?」

(真名の方で呼ぶな。先程、覇道とリベンジャーから無事、ロストロギアを確保したという報告が上がった。加頭達、幹部や燐以外の怪人も倒された今、加頭、零斗、フェニックスの三人の所へ行き、撤退させてもらいたいのだが……)

「ふぅーん……まぁ、イイわ。今の私は気分がイイから。」

(そう言ってもらえると助かる……では、また後でな……)

そうしてカンナギとの“念話”が切れる。

『良いのか?主。あんな死体に身を隠して、指示を飛ばす陰気野郎の依頼を受けて。』

「えぇ。今はあいつや組織と仲良くしといた方が彼女達の成長を見られるし、『私』と戦う機会に巡り会えそうだからね。」

闇梨紗はそう言いながら再び霊体化し、加頭達の方に向かった。
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