覚醒(めざ)めし騎士と強まる闇

『Xマジンラー』本拠地、玉座の間・・・

「ダークロイドZZZが堕ちたようだな。加頭。」

「申し訳ありません。カンナギ総帥。」

その頃、『Xマジンラー』本拠地、玉座の間ではルパンがノゾミ側に寝返ったことについて、そう言うカンナギに対し、加頭はそう言いながら頭を下げる。

「まぁいい……例のロストロギアの件はどうなっている?」

「はい。調べてみたところ、あのロストロギアは『ウェズペリア』にあることがわかったので今、クチヒコさんとミミヒコさん達に探してもらっています。」

「そうか……それはそうとさっきからそこに隠れている奴、いい加減出てこい。いるのはわかっている……」

加頭からの報告を聞いた後、カンナギは誰もいない方を見ながらそう言う。

「「「「「?」」」」」

そんなカンナギの姿にその場にいた加頭、ジンガ、アミリ、フェニックス、覇道の五人が首を傾げるなか、

・・・スゥ・・・

「気付かれたか……」

「「「「「!?」」」」」

前章でルパンを無理やり断片化させた運命神の遣いでもある悪魔の転生体、ガミジンがその場に現れる。

「誰だ!?てめぇは!!?」

突然、現れたガミジンに対し、フェニックスはそう言いながらカタストロフを突きつける。

「よせ。フェニックス。カタストロフを下ろせ。」

「総帥!!」

「……私は『下ろせ。』と言ったんだ………」

「!?ちっ……」

が、その直後、そう命じながら放たれるカンナギの殺気に威圧され、舌打ちしながらもカタストロフを下ろす。

「貴様からは敵意は感じない……貴様は何者で何の用でここにきた?」

「……俺の名はガミジン・マルパス。運命神の遣いとしてここに来た……」

フェニックスを押さえた後、そう尋ねながら玉座に座り直すカンナギに対し、ガミジンはそう名乗る。

「運命神だと?」

「単刀直入に言おう。俺の契約主である運命神はおまえ達、『Xマジンラー』との同盟を結ぶことを望んでいる。」

ガミジンが言った『運命神』という単語にジンガがそう言って反応するなか、ガミジンはそう用件を言う。

「「「「「!?」」」」」

「同盟だと?」

「………」

ガミジンの申し出に今、玉座の間にいる幹部達が驚愕の表情を浮かべるなか、眉を潜めながらそう言うカンナギに対し、ガミジンは目を反らさずに見続ける。

「……貴様達と組んで、我々に何の得がある?」

「近頃、『ウェズペリア』や『ムンドゥス』、『アクエリアス』、『ミッドチルダ』への侵攻が思いの外、進んでいないらしいな。ノゾミ・ナカムラやその仲間達のせいで。」

「………」

「俺の契約主である運命神や俺も含む運命神に“力”を分け与えられた悪魔や転生者で構成された『運命の断片達フェイト・フラグメンツ』もまた、そいつらに邪魔されて侵攻が進んでいない……ここまで言えば、わかるだろう?」

「……なるほど……互いに共通する敵であるノゾミ・ナカムラとその仲間達を倒し、共に全世界を支配しようということか………」

「そういうことだ。あんたらが何か計画を実行するなら俺達もそれなりの戦力を提供する。その代わり……」

「貴様達が行動を起こす時は我々も戦力を提供する……」

「悪い話ではないだろ?俺達が組めば、互いの利益になる……」

「………」

「……良いだろう。ちょうどこちらも戦力を強化したいと思ってたところだ……」

「……契約成立だな……」スッ

そう言うカンナギの言葉を聞いて、ガミジンはそう言いながら、黒い水晶と何らかの書類を取り出す。

「?それは?」

「「「「「?」」」」」

ガミジンが取り出した水晶と書類を見て、カンナギは首を傾げながらそう尋ね、幹部達も首を傾げる。

「水晶の方はこの組織から脱走したダークロイドZZZが潜伏していた古代遺跡ダンジョンに封印されていた堕ちた武神、スサノオの闇を封じてある。書類の方はそのダンジョンに配置されていた、古の黒魔術師が造り出した魔導機兵のデータだ……これから手を組み、共に戦う『同士』達に対する、『運命の断片達』を代表して俺から贈るささやかな贈り物だ……」

そんなカンナギや幹部達に対し、ガミジンはそう説明しながら、近くにいたアミリに手渡す。

「なかなか気の利いた手土産ね。」

「加頭。ガミジンに付いていき、『運命の断片達』とやらの戦力を確認しろ。」

「了解しました。」

「付いてこい。」

アミリがそう言いながら水晶と書類を受け取り、そう命ずるカンナギに加頭がそう返事をするなか、ガミジンはそう言いながら後ろを向いて、歩き始める。

「ガミジン。ついでに貴様の契約主である運命神に伝えておけ。」

「?」

「……同盟は結ぶが、その同盟が吸収合併にならぬよう、お互いに気を付けよう……とな……」

「………」

不敵な笑みを浮かべながらそう言うカンナギの言葉を背に、ガミジンは加頭と共にその場を後にした。
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