狙われた怪獣使い

『アトラン王国』、西側・・・

モウ・・・モウ・・・

「……やったッスかね……」

「だと良いんだけどね。」

自分達が放った“ライダーキック”と“アクセルグランツァー”によって発生した土煙を見ながら、涼華と明日奈はそう話をする。

「残念。惜しかったね。」

「「!?」」

が、次の瞬間、土煙の中からいつの間にかライダーフォームから多少の傷が付いたマスクドフォームに変わっていた覇道がそう言いながら現れる。

「マスクドフォーム!?いつの間に!?」

「君達の技を食らう寸前にプットオンして戻ったんだよ。防御力はこっちの姿の方が高いからね。」

「けど、いくら防御力が高いマスクドフォームでも、あれだけの攻撃を同時に受けて、その程度のダメージで済む筈は……」

「フフフ……マスクドフォームに戻った直後、その上からフィールド系の防御魔法を展開したのさ。正直、ギリギリだったけどね……」

マスクドフォームに戻っていた覇道を見て、そう困惑の声を上げる涼華に対し、覇道は不敵な笑みを浮かべながらそう説明する。

「はははははっ!!俺を一回、倒すとはやるなぁ!!!」

「「「「!?」」」」

ボオオオォォォッ!!

そんななか、先程、夢羽が放った“ディープスパウダー”によってフェニックスごと爆散された結界装置ガジェットがあった場所からそう言うフェニックスの声と共に炎が噴き上がる。

やがてその炎は人の形になり、フェニックスに変わった。

「「「「!?」」」」

「やっぱり復活したか。フェニックス。」

「へへ……俺は不死身だからなぁ……」

復活したフェニックスを見て、夢羽、唄乃、明日奈、涼華の四人がそう驚愕の表情を浮かべるなか、そう話しかける覇道に対し、フェニックスは不敵な笑みを浮かべながらそう言う。

「くっ!!」

「不死者だったのか……」

そんなフェニックスを見て、夢羽と唄乃はそう言いながらディーペストハープーンと黒狼牙、カートリッジハンドガンを構え直し、涼華と明日奈もロングホーンブレイドとロングホーンクラッシャー、エンジンブレードを構え直す。

「さて、それじゃあ、第二ラウンドと行きたいが、どうやらここ以外の結界装置も破壊され、ベルゼバブの野郎はしくじったみてぇだな。」

「だね。さっき、父さん……総帥からも帰投命令が出たよ。」

パァァァ

が、フェニックスと覇道はそう話しながら、背後に銀のオーロラを出現させる。

「つう訳だ。てめぇらとの楽しい戦いの続きは今度にしといてやる。」

「まったねぇ~♪」

「ッ!!待ちなさい!!」

次の瞬間、二人は明日奈の制止を聞かず、そのままその場を去っていった。

「……逃げられたか……」

「けど、奴らの計画は阻止できたみたい。」

「まぁ、それでも幹部二人を仕留められなかったのはちょっと悔しいッスね。」

覇道とフェニックスが去っていった後、唄乃とそう話しながら、夢羽と涼華は変身を解き、明日奈も変身を解く。

『明日奈。先程、気付いたことなんだが……』

「ん?」

『……どうやらこの世界で新たにNSに覚醒した者が現れたようだ……』

「!?確かなの?エレン。」

『あぁ。学園の方からリサのともカオリのとも違うNSの気配を感じる。』

そんななか、覚醒したノゾミのNSの気配を感知したエレンがそう明日奈に言う。

「じゃあ、今は学園に向かった方が良さそうね。そのNSの覚醒者が誰なのかを確認しないと……」

『あぁ。』

そうして明日奈、唄乃、夢羽、涼華の四人も学園の敷地内に入り、ノゾミ達の元へと向かっていった。
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