狙われた怪獣使い

『アトラン王国』、北側・・・

「………」スッ

北側でアミリと戦っていたスィンは懐から22年前に手に入れた、異世界にいる友人の一人である黒崎一輝の姿が描かれたカードを取り出す。

ヒュッ!!パァァァ

スィンがそのカードを前方に投げた瞬間、カードは光り輝きながら人一人が通れるくらいに巨大化する。

パキィィィンッ!!

巨大化したカードを通過した瞬間、スィンは黒い死白装のバリアジャケットを装着し、髪の色がオレンジに変わる。

「!?姿が変わった!?仮面ライダーでもない……なんなの!?その姿は!?」

そのスィンの姿を見て、アミリはそう困惑の声を上げる。

「これは22年前のとある事件で手に入れた“力”よ。」

そんなアミリに対し、スィンはそう言いながら黒月姫と白月姫を構え直す。

「ッ!!」

対するアミリは顔をしかめながら念力を放って、吹き飛ばそうとする。

「………」

・・・フッ・・・

「!?」

が、その瞬間、スィンの姿が消える。

「消えた!?一体何処に」

「刻みなさい!!黒月姫!!」

「!?」

ズバババババババババババババババァンッ!!

スィンの姿が消えたことにそう困惑の声を上げるアミリに対し、一輝の“力”の一部、瞬歩を使って背後に移動していたスィンはそう言いながら黒月姫の能力を使って、十数ヶ所の切り傷を負わせる。

「あっ!?くっ……無駄よ。私にどれだけ切り傷を負わせようと……」

アミリはそう言いながら再生能力を使って、負わされた傷を修復しようとする。

が、傷が治っていく気配がない。

「な、何故……ッ!?」

そのことにアミリが首を傾げながら、そう言いながら傷を見てみると、傷口が氷に覆われていた。

「残念だけど、この姿の時、私は黒月姫と白月姫から放たれる斬撃に氷結効果を付与できるのよ。いくら再生能力を持っていると言っても傷口が凍りついたんじゃ再生しづらいでしょ。」

「!?」

氷に覆われた傷口を見て、驚愕の表情を浮かべるアミリに対し、スィンはそう言いながら瞬歩を使い、急接近する。

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

ズバババババババババババババババァンッ!!

次の瞬間、スィンはそう言いながら黒月姫と白月姫で十数回と斬りつける。

その際、斬りつけられた傷口も先程、斬りつけられた傷口と同様、凍りつく。

「くっ……」

ブアアアァァァーーーッ!!

対するアミリは苦痛の表情を浮かべながら、口から大量の蝶の使い魔を放ってくる。

放たれた使い魔達はこれまでの使い魔達とは違い、一羽一羽が触れただけで焼かれるような激痛を与える程の強力な邪気を纏っていた。

「ッ!!」

・・・フッ・・・

そんな使い魔達に対し、スィンは瞬歩で後ろに後退しながらかわし、

「刻みなさい!!黒月姫!!」

ズバアアアァァァンッ!!

黒月姫の能力を使って、一斉に斬り伏せる。

「スィンはあの一輝さんのカードを使ったのか。なら、僕も使うか。」スッ

一輝の“力”を借りて、アミリに反撃を開始したスィンを見て、一翔はそう言いながら、スィンが一輝のカードを手に入れたのと同じ経緯で手に入れた、異世界にいる友人の一人で先輩に当たる転生者、古河和也の姿が描かれたカードを取り出す。

ヒュッ!!・・・パァァァ・・・

取り出したカードを前方に投げた瞬間、カードはスィンのと同様、光り輝きながら人一人通れるくらいに巨大化する。

パキィィィンッ!!

そのカードを通った瞬間、一翔は和也のバリアジャケットを装着する。

「クリエイト!!魔戒剣!!」

パァァァ・・・パシッ!!

一翔は和也の能力を使って、赤い鞘の魔戒剣を創造する。

「………」

創造した後、一翔は魔戒剣を鞘から引き抜き、頭上に円を描く。

パァァァ・・・パキィィィンッ!!

次の瞬間、一翔はジンガにとっては忌々しい姿、黄金騎士 牙狼に変身した。
42/50ページ
スキ