狙われた怪獣使い

『フォールテ学園』、敷地内・・・

「はぁ……はぁ……」

「フフフ……」

その頃、『フォールテ学園』の敷地内で戦っていたヴィヴィオは今、空間移動の“力”を持つベルゼバブに苦戦していた。

(くっ……このベルゼバブという怪人……思ってたより強い……)

「フフフ……ノゾミ・ナカムラにブルースコーピオンの猛毒を食らわせてから既に四時間四十五分が経過した……どうやら、ノゾミ・ナカムラを助けることは無理そうですね……」

そう思いながら肩で息をしているヴィヴィオに対し、ベルゼバブは不敵な笑みを浮かべながらそう言う。

「ッ!!はあああぁぁぁーーーっ!!」

対するヴィヴィオはそう言いながら急接近し、殴りかかろうとする。

「フッ………」

「!?」

ズバァァァンッ!!

が、ベルゼバブはそのヴィヴィオの拳をかわしながら、持っていた剣でカウンターで斬り裂き、

「はぁっ!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

「きゃあああぁぁぁーーーっ!?」

剣を持っていない方の腕から針を無数に放ち、ヴィヴィオにダメージを与えながら吹き飛ばす。

「くっ……うぅ……」

「フフフ……残り時間も後僅か……このままノゾミ・ナカムラの命が尽きるのを見届けたいところですが、私の任務は強力な怪獣使いであるあなたを回収すること……先に任務を果たすことにしましょう……」

無数の針を放って吹き飛ばした後、ベルゼバブはそう言いながらヴィヴィオに歩み寄る。

パァァァ・・・ズオオオオオッ!!

「ガアアアァァァーーーッ!!」

「「!?」」

が、その瞬間、近くの窓が輝きだし、その光から緑のドラグレッダー、クーロンドラゴンが現れ、

ドカァァァンッ!!

「ぐわぁぁぁっ!?」

ベルゼバブに体当たりして、ヴィヴィオから遠ざける。

「それ以上、ヴィヴィオ先生には手を出させない……」

「「!?」」

次の瞬間、光の中から続いて、金髪のショートヘアの少女がそう言いながら現れる。

「!?ウカサさん!?」

「………」

光の中からクーロンドラゴンと共に出てきたのはかつて、『Xマジンラー』に唆されて学園を襲撃してしまったことのある、ヴィヴィオの教え子で今は停学で謹慎処分中の元『ブッシィー共和国』の上級貴族である少女、ラミ・ウカサだった。

「これはこれは……誰が来たかと思えば、前に我々の“力”を借りて復讐しようとしたお嬢様ではありませんか……また我々の“力”を借りに来ましたか……」

突然、クーロンドラゴンと共にヴィヴィオを護るように現れたラミに対し、ベルゼバブは不敵な笑みを浮かべながらそう話しかける。

「……確かに私はあなた達の“力”を借りて、ノゾミ・ナカムラやヴィヴィオ先生に復讐しようとした。けど、そんな私をヴィヴィオ先生達は止めて、道を踏み外そうとした私を助けてくれた……」

「ウカサさん……」

「だから、今度は私がヴィヴィオ先生を助ける!!」バッ!!

ラミはそう言いながら以前、ヴィヴィオを介して、蒼牙から手渡されていた龍がモチーフの緑のカードデッキを取り出し、それを前に突き出す。

パァァァ・・・ガチャンッ!!

すると、ライダーベルトが出現し、ラミの腰に装着される。

「変身!!」

ラミはそう言いながら、カードデッキをバックルに装填する。

パキィィィンッ!!

次の瞬間、ラミは緑の龍騎、オリジナルの鏡の仮面ライダー、仮面ライダー九龍クーロンに変身した。

「!?なに!?」

『ソードベント』

「いきますよ!!ヴィヴィオ先生!!」

「ウカサさん……えぇ!!」

九龍に変身したラミを見て、ベルゼバブがそう困惑の声を上げるなか、ラミはクーロンセイバーを装備しながらそうヴィヴィオに言い、対するヴィヴィオはそう返事しながら立ち上がり、拳を構える。

「くっ!!」バッ!!

そんな二人に対し、ベルゼバブはそう言いながら剣を構え直す。

カアアアァァァーーーッ!!

「「「!?」」」

そんななか、一年Sクラスの教室の窓から空色の光が漏れてきた。
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