狙われた怪獣使い

生と死の狭間・・・

「あれ?ここは何処?」

いつの間にかいた辺り一面が白い空間を見渡しながら、私は首を傾げながらそう言う。

あ。どーも。視点は作者から変わりまして今は私、ノゾミ・ナカムラです。

って私はまた誰に言ってるんだろう?

「ここは生と死の狭間じゃ。」

「!?伊邪那美!?」

「うむ。可愛い孫娘のために馳せ参じたぞ♪」

ビックリしながらそう言う私に対し、いつの間にか後ろにいた伊邪那美は笑顔でそう言う。

「!そうだ。私、ジェイ君に後ろから影狼で刺されて………」

「そう。そのジェイの影狼の刃に仕込まれておったブルースコーピオンの毒にやられ、お主は今、生死の境をさ迷っておる………」

「ジェイ君……アカリちゃん……」

「……操られておる者達を元に戻す方法ならあるぞ……」

『Xマジンラー』に操られていたアカリちゃんやジェイ君達の姿を思い起こして、顔を青ざめる私に対し、伊邪那美はしれっとした表情でそう言う。ってえ?

「え?伊邪那美。アカリちゃん達を元に戻すことができるの?」

先程、伊邪那美が言ったことについて、私はそう尋ねる。

「お主にも受け継がれておる妾の“力”と共に、お主の中に長年、眠り続けていた『ある力』を目覚めさせればの。」

そんな私に対し、伊邪那美は笑顔でそう答える。

って私に長年、眠り続けていた“力”?

「その“力”の覚醒、私にも手伝わせてくれないか?」

「!?」

伊邪那美の言う『ある力』のことについて、私がそう思いながら首を傾げるなか、何処からか、そう言う声が聞こえ、近くに金のオーロラが出現する。

次の瞬間、そのオーロラから蒼牙さんが出てくる。

「って蒼牙さん!?どうしてここに!?」

「ふむ、前に来た時、MSを置いてくるのを忘れていたのでな。それでリヒテルと共に再び『ウェズペリア』に来てみたら、再び襲撃してきた『Xマジンラー』と戦闘している一翔殿達と出会してな。奴らと戦っている最中、君が生死の境をさ迷っているのを感じとって今、こうして君を助けに来たのだ。」

「ふむ。お主は『次元の守護神』、飛龍竜一蒼牙じゃな………」

笑顔でそう答える蒼牙さんに対し、伊邪那美は真剣な表情でそう話しかける。

「話は聞かせてもらった。ノゾミに眠りつつある“力”の解放……私にも手伝わせて欲しい………」

対する蒼牙さんは真剣な表情でそう言う。

「無論じゃ。今回、妾の“力”と共に解放させるノゾミ自身の“力”は妾一人で解放させるには少々危険な“力”じゃからな。」

パァァァ

そんな蒼牙さんに対し、伊邪那美はそう言いながら、魔法陣を展開する。

「ノゾミ。この魔法陣の中央に立っておくれ。」

「わかった………」

真剣な表情でそう言う伊邪那美に、私はそう言いながら言われた通りに魔法陣の中央に立つ。

「蒼牙は妾の向かい側に。ノゾミを間に挟むように立つのじゃ。」

「了解した。」

蒼牙さんはそう言いながら、魔法陣の外側の、私を挟んで伊邪那美と向かい合うような位置に立つ。

「ノゾミ。先に言うておくことがある……」

「ん?」

「今から目覚めさせるのは『神に抗う力』……場合によっては闇に引き摺り込まれるきっかけにもなりうる危険な“力”じゃ……」

「………」

「扱いを誤れば、その“力”は周りは勿論、自分さえも滅ぼしてしまう……心せよ……」

「……わかった……」

真剣な表情でそう言う伊邪那美に対し、私も真剣な表情でそう言う。

「では、始めるぞ。蒼牙。妾等二人が同時に神力をこの魔法陣を介して、ノゾミに流し込んで、“力”の枷を強引に外す。」

「……了解した……」

「「……ハッ!!」」

カアアアァァァッ!!

伊邪那美と蒼牙さんはそう言いながら、同時に魔法陣に手を付き、魔法陣を介して、私に神力を流し込んでくる。

ゴオオオォォォーーーッ!!

「!?」

その瞬間、私の足元から空色の風が私を包む嵐のように吹き荒れる。

『NSは人の持つ可能性の一つ。貴女にも様々な可能性が秘めている。』

(!?この声は……リサさん……?)

『だから、生きることを諦めないで。決して……』

その時、何処からか、リサさんの“声”が聴こえたような気がした。
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