狙われた怪獣使い

『フォールテ学園』、一年Sクラス、教室・・・

「よいしょっと……こんな感じで良いかな?」

「ですね。後はヴィオラさんのルナの障気で強化すれば、バリケードとしては十分に機能すると思います。」

ブルースコーピオンの猛毒にやられているノゾミの看病をヴィオラに任せたエレンとカインはそう話しながら、教室のドアや窓の前に机等を積み上げて、操られた生徒や教師達の侵入を防ぐためのバリケードを作っていた。

「ヴィオラちゃん。」

「うん。エレンちゃん……ルナ。お願い。」

{あぁ……}

シュウウウ・・・

ルナは障気を出し、ドアや窓の前に積み上げられた机等に巻き付かせて、バリケードを強化する。

「ヴィオラさん。ルナ。ノゾミさんの容体は?」

「……さっきから水を飲ませたり、汗を拭いてあげたりしてるけど、悪くなっていく一方だよ……」

{早く解毒薬を飲ませないと……}

「そうですか……」

「毒にやられてからもう四時間……マコト君とリッド先生……まだ見つけられてないのかな……」

「ぐっ!?うぅ……はぁ……はぁ……」

カイン、ヴィオラ、ルナ、エレンの三人と一体がそう話をするなか、ノゾミはそう苦しみの声を上げる。

「「「{!?ノゾミ(ちゃん)(さん)!!}」」」

そんなノゾミに対し、カイン達はそう言いながら駆け寄る。

スタッ・・・スタッ・・・スタッ・・・

「「「{!?}」」」

そんななか、こちらに近付いてくる生徒や教師達の足音が聞こえてきた。

保健室・・・

「くそっ!!漸く保健室まで辿り着いたってのに解毒薬は何処なんだよ!?」

その頃、なんとか保健室まで辿り着いたマコトはそう言いながら、リッドと一緒に解毒薬を探していた。

「こんなに探してもないってことは……まさか、解毒薬はとっくに敵の手に渡っているんじゃ」

ドカァァァンッ!!

「「!?」」

リッドがそう言う最中、保健室の出入り口が壊され、何名かの教師や生徒達が雪崩れ込んでくる。

「くっ!!」

「くそっ!!」

雪崩れ込んできた教師や生徒達を見て、リッドはそう言いながら拳を構え、マコトもそう言いながら銀華を構える。

そうして二人はそのまま教師や生徒達と戦闘を開始した。
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