狙われた怪獣使い

「うおおおぉぉぉーーーっ!!」

ボオオオォォォーーーッ!!

勇者が去った後、零斗はマリーを殺された怒りと悲しみをぶつけるかのように、周りにあるものを黒炎で燃やし尽くす。

「はぁ……はぁ……うっ……」

ガクッ!!

「うっ……うぅ……マリー………」

燃やし尽くした後、零斗はマリーのことを想いながら、その場で泣き崩れる。

「勇者が……英雄ヒーローが憎いか?」

「!?」

そんななか、突如、そう言う声が聞こえてくる。

顔を上げた零斗の目の前にいつの間にか、金髪のオールバックにサングラスをした、黒服の男が立っていた。

「……あんたは?」

「俺の名はウェスカー。『Xマジンラー』の幹部だ。」

「Xマジンラー……」

「おまえは憎いのだろう?魔族だからという理由だけで恋人を殺した勇者が、その勇者を英雄ヒーローと讃える王国が、全てが……」

黒服の男、ウェスカーはまるでいざなうかのようにそう零斗に話しかける。

「ッ……憎いに決まってるだろ。マリーを殺したあの勇者も!!あの勇者を送り込んだ連中も!!全部!!」

「ならばその復讐、俺達が“力”を貸してやろう。」

ウェスカーはそう言いながら、懐からハイドドライバーとハイドフォンを取り出し、零斗に手渡した。

一時間後、『ジャスティ王国』・・・

ボォォォ・・・

一時間後、『ジャスティ王国』は『Xマジンラー』の怪人達に蹂躙され、何割かの国民がゾンビになったりと混乱に包まれていた。

王城、王室・・・

「姫!!ご無事ですか!?」

勇者はそう言いながら、自身の愛する姫がいる王室に入る。

「グルルル・・・」

が、姫は既に血を流し、ゾンビに変貌していた。

「!?そんな………」

「ガアアアァァァーーーッ!!」

愛する者がゾンビになったことにショックを受ける勇者に対し、姫は牙を剥き出しにして襲いかかる。

「ッ!!」

ズバァァァンッ!!

が、勇者は条件反射で聖剣を抜き、姫を斬り伏せる。

「……くっ……」

ガクッ!!

ゾンビになったからとはいえ、愛する者を手にかけたことに勇者はショックからか、思わずその場に片膝を着く。

「自分の愛する者を手にかけた気分はどうだ?」

「!?」

が、次の瞬間、マリーを殺した勇者に対する憎しみをその眼に宿した零斗がそう言いながら、その場に現れる。

「貴様は先程の!!今、この国で起きている混乱は貴様の仕業か!?」

「あぁ。そうさ。マリーを殺した貴様や貴様を勇者や英雄だと持て囃し、マリーを殺すよう仕向けた連中に復讐するために『Xマジンラー』という組織の“力”を借りたのさ……特に貴様には俺と同じ、いや、それ以上の苦痛を味あわせるためにな!!!」

「くっ……うおおおぉぉぉーーーっ!!」

憎しみに染まった眼で睨みつけながらそう言う零斗に対し、勇者は怒りに任せて、聖剣を振るってくる。

「………」ガチャンッ!!

対する零斗はその剣劇をかわしながら距離を取り、ハイドドライバーを装着しながら、ハイドフォンを取り出す。

666 ENTER

『STANDING BY』

「変身。」

『COMPLETE』

パキィィィンッ!!

次の瞬間、零斗は復讐のライダー、ハイドに変身する。

「ッ!!うおおおぉぉぉーーーっ!!」

パァァァ

ハイドに変身した零斗を見て、勇者はそう言いながら聖剣を振り上げ、聖属性の魔力を刀身に集約させる。

「………」

『EXCEED CHARGE』

「フッ!!」

「!?」

パァァァ

対する零斗はハイドフォンからミッションメモリーを引き抜き、ハイドブレイガンにセットして、銃口からポインターを放って、勇者をポインター内に拘束する。

「“ハイドスラッシュ”。」

「!?」

ズバァァァンッ!!

次の瞬間、零斗はそう言いながら超スピードで突っ込み、相手をハイドブレイガンの光の刃で斜め十字に斬り裂く必殺技、“ハイドスラッシュ”を食らわせる。

「がっ……はぁ……」

ドサッ!!

“ハイドスラッシュ”を食らい、致命傷を負った勇者は聖剣を手放しながら、その場に倒れ込む。

「安心しろ。貴様をゾンビにはしない。ここで俺が地獄に叩き落としてやる………」

零斗はそう言いながら、ハイドブレイガンの銃口を勇者の頭に向ける。

「くっ……悪魔め……」

「上等。貴様のような奴が英雄で正義のヒーローだって言うなら、俺がそんな英雄共を叩き潰す悪魔になってやる。」

ダァンッ!!

零斗はそう言いながら、ハイドブレイガンから放たれた光弾で勇者の頭を撃ち抜いた。
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