狙われた怪獣使い

22年前、とある魔法世界、とある森の中・・・

「じゃあ、マリー。食糧調達に行ってくるぜ。」

22年前のとある魔法世界のとある森の中にて、まだ『Xマジンラー』に入る前の、黒髪黒目の零斗はそう言いながら家から出てくる。

「うん。気をつけてね。零斗。」

そんな零斗に対し、白髪のロングヘアーに赤目の女性・・・当時の恋人の魔族、マリー・ゾルードはそう言う。

「あぁ、美味い肉獲ってくるからな♪」

対する零斗は笑顔でそう言いながら狩りに向かった。





三時間後・・・

「♪~♪♪~」

狩りに出てから三時間後、活きが良く、大きい牛鹿(牛のような鹿)二頭を仕留めた零斗は鼻唄を唄いながら、血抜きした牛鹿の肉を持ちながら帰路に着く。

「!?」

「はぁ……はぁ……」

「………」

が、帰ってみるとそこには傷だらけのマリーと血が少しだけ付いた黄金の剣を持つ騎士のような男がいた。

「マリーに何やってんだ!?てめぇっ!!!」

「!?」

ドカァァァンッ!!

次の瞬間、零斗はそう言いながら持っていた肉をその場に投げ飛ばし、騎士に急接近して蹴り飛ばす。

「ぐっ!?」

「マリー!!大丈夫か!?」

騎士を蹴り飛ばした後、零斗はそう言いながら、マリーに駆け寄る。

「うっ……零斗……」

「……誰だ?てめぇは……」

マリーに駆け寄った後、零斗は睨み付けながら、そう騎士に尋ねる。

「ッ……私はそこにいる魔族の討伐を依頼された、『ジャスティ王国』の勇者だ……」

「あ゛?」

「魔族は悪だ。そして、その魔族は人間の男をたぶらかし、食い物にしている。」

「ち、違う!!私はそんなこと」

そう言うマリーの言い分を無視しながら、勇者は急接近しながら黄金の剣、聖剣でマリーを斬り裂こうとする。

ガキィィィンッ!!

「魔族だから討伐するって?ふざけんじゃねぇよ。マリーは俺の大切な人だ!!」

が、零斗がそう言いながら、持っていた剣で受け止める。

「魔族を庇うとは……貴様も人の皮を被った魔族か……ならば、討伐するまで!!」

「!?」

バキィィィンッ!!

勇者はそう言いながら、聖剣で零斗の剣を破壊しながら斬り裂こうとする。

ズバァァァンッ!!

「!?」

「………」

が、そんな零斗をマリーが庇い、代わりにマリーが斬り裂かれる。

「うっ………」

「マリー!!」ガシッ!!

勇者に斬り裂かれ、仰向けに倒れこむマリーを零斗はそう言いながら受け止め、支える。

「零……斗……」

「マリー!!しっかりしろ!!」

「おね……がい……零斗……そんな……悲しい……顔……しな……い……(ガクッ)………」

「マリー?……マリー!!」

マリーは零斗の腕の中でこと切れてしまう。

「うっ……うぅ……っ!!」

「次は貴様だ。」スッ

マリーの遺体を抱きながら涙を流す零斗に対し、勇者はそう言いながら聖剣を振りかざす。

パアアアァァァッ!!

「!?」

が、次の瞬間、零斗とマリーの身体が光に包まれ、マリーはそのまま光となって零斗の中に入り、零斗の髪が白髪に変わる。

少しすると、零斗の身体を包み込んでいた光が消え、零斗は光に包まれている間、閉じていた瞳を開ける。

その目も黒目から赤目に変わり、勇者に対する怒りや憎悪が宿っていた。

「………」

「貴様……先程の魔族を取り込んッ!?」

ボオオオォォォッ!!

勇者の言葉の最中、零斗は先程、覚醒した『死んだ生き物を取り込み、その“力”を得る』能力で得たマリーの属性である黒炎を放つ。

が、勇者はその黒炎を紙一重でかわす。

「よくも……よくもマリーを!!」ズオオオォォォッ!!

「ッ……なんて強い魔力と殺気なんだ………」

「殺ス!!てめぇだけはあああぁぁぁっ!!!」

ボオオオォォォーーーッ!!

零斗はそう言いながら、またしても黒炎を放つ。

「……ここは一旦退いて、体制を立て直すか……」

・・・フッ・・・

が、勇者はそう言いながら転移して、その場を去っていった。
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