幻想の守護者が次元の守護神を連れてきました

「リヒテルさん……どうぞ……」

「では……私から君に言えることはただ一つ……他者に憎悪等を向ける前に、自分が成さなければならないことを見つけることだ……」

「私が成さなければならないこと?」

「あぁ……」

「……そんなのわからないわよ……」

「わからなければ、そこにいるヴィヴィオ先生や私達、大人に聞けば良い。完璧な答えは無くとも、ヒント位にはなるさ。君のような恨み等、私や蒼牙閣下はごまんと受けてきた……君と一緒に来た勇者達との縁は切るべきだがな。」

「わ、私は……」

「そうだな……まだ、君達は若い。試練の時であり、独りの人間としての存在確立のための時だ。親が教えてくれぬのなら、周りの大人達に聞くことが許される時だ。私やリヒテル、舞人だって君の相談位は乗ってやる。人から学び、自己と比べ、悪い箇所を正し、より良い人物となれ。それが全ての理性を持ちし者の命題だと俺は思うぜ。」

優しい笑顔でそう言うリヒテルさんの言葉にそう困惑の声を上げるなか、今度は蒼牙さんが人を惹き付けるような笑顔でそう言う。

「私は……私は……」

「まぁ、私も停学処分と国外追放になっていたことを伝えてから今日までちゃんとあなた達と向き合えてなかったから、あなたが『Xマジンラー』に心の隙を突かれて、今回の騒ぎを起こしちゃったのよね……ごめんなさい。ウカサさん。これからはちゃんと向き合っていくから……一緒にあなたが成さなければならないことを見つけましょう………」

「うっ……うわあああぁぁぁんっ!!!」

ヴィヴィオ叔母さんが笑顔でそう言った瞬間、ラミは思いきり泣き始める。

「わ、私……ごめんなさ……っ!!」

「ノゾミちゃん。先に学園に戻って、クラスの皆に今日はもう帰るよう、伝えて。私はウカサさんを謹慎先のホテルまで送ってくから。」

「わかりました。ヴィヴィオ先生。」

ラミが大泣きしながら反省の意思を示すなか、そう言うヴィヴィオ叔母さんに対し、私はそう返事をする。

「それじゃあ、僕達も屋敷へ帰りましょうか。リヒテルさん。皆。」

「あぁ……そうだな。一翔殿。」

「それじゃあ、ノゾミ。ヴィヴィオ。また後でな。」

「うん。今日はありがとうね。お父さん。皆。」

「リヒテルさん達も今日はありがとうございました。」

そうして私は学園に戻り、ヴィヴィオ叔母さんはラミを謹慎先のホテルへ送り届け、お父さんやリヒテルさん達は屋敷へと帰っていき、ラミを利用した『Xマジンラー』の学園襲撃事件は終わりを迎えた。まる。
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