目を逸らしていたもの
「……は?」
『加頭について、わかっているのはここまでだね。』
「いや、それは良い、いや、良くはないけど、さっきのムテキゲーマーの姿は」
『次は今回の件にも関わっているこの二人だね。』
「え!?ちょっ」
ヴゥンッ!!
豆柴ムテキゲーマーのことについて、尋ねようとした月音をスルーして、スカリエッティは今度はジンガとアミリの二人を空間モニターで映し出す。
「!?」
次の瞬間、月音は空間モニターで映し出されたジンガとアミリを、特にジンガを凝視しながら固まる。
「?月音?」
『大丈夫かい?』
そんな月音に対し、シャトラとスカリエッティは首を傾げながらそう尋ねる。
が、月音は空間モニターに映るジンガから視線を外せずにいる。
「………」ピトッ
「!?」
そんな月音に対し、いつの間にか左肩に乗っていたりゅーきがその頬にピトッと触る。
「あっ……」
それによって正気に戻った月音はりゅーきの方を見る。
「りゅーき……ありがとうね……」
「………」ビシッ‼
月音からお礼を言われたりゅーきは『気にするな』と言わんばかりに片手を上げる。
「すいません。シャトラさん、スカリエッティさん。続きをお願いします。」
(大丈夫……似てはいるけど、あの人とは違う……)
月音はそう思いながら続きを促す。
『あぁ、彼らは男の方はジンガ、女の方はアミリと言って、『Xマジンラー』の幹部であり元魔戒騎士と元魔戒法師である怪人ホラーだ。』
そんな月音に対し、スカリエッティはそう説明する。
「「?」」
対する月音とりゅーきは首を傾げる。
『まぁ、知らなければ、そんな反応になるのは当然か……』
『ふむ。シャトラ君。彼女には何処まで説明してあるのかな?』
「ホラーが魔界から人間を喰らいに来る魔物であるということくらいですね。」
そんな一人と一体の様子にⅥ世がそう言うなか、そう尋ねるスカリエッティに対し、シャトラはそう答える。
『ふむ……なら、先ずはホラーについて、説明するとするか……』
ヴゥンッ!!
対するスカリエッティはそう言いながら、黒いガーゴイルのような姿のホラーが空間モニターで映し出される。
『これは低級ホラー。若しくは素体ホラーといって先程、シャトラ君が説明したように魔界……正しくは『真魔界』と呼ばれる異世界に多く生息し、『陰我』が宿った物体を『ゲート』にして人間界に人間を喰らいに現れる魔獣だ。』
「?陰我というのは?」
『ふむ……悲哀や憤怒、絶望等といった負の思念といえばいいかな……そういったものが強く宿ったものがホラーが人間界に渡るための『ゲート』になるんだ……』
「なるほど……」
『『陰我』を通って人間界に来たホラーは悪意に呼応して人間に憑依することで実体化する性質を持つ。』
『もっとも、『Xマジンラー』に所属しているホラーの大半は人間を依代にせず、『闇の力』によって実体化しているようだがな。』
ヴゥンッ!!
『陰我』についての説明に一先ず納得している月音にスカリエッティとⅥ世はそう説明しながら、今度は『ウェズぺリア』や『妖怪の国』で確認された上級ホラー、ムラドやゼラーザの姿を空間モニターで映し出す。
『人間に憑依して実体化したホラーはゲートとなった物や憑依先の人間の性質によって多種多様な姿・能力を得るらしい。これらはそうして生まれた上級ホラーだ。』
「つまりは上位個体ということですか?」
『まぁ、そういうことだね。』
『そんなホラーを討伐する役目を担っているのが魔戒法師と魔戒騎士だ。』
「はぁ……」
(なんで法師と騎士なんだ……)
『最初は魔戒法師が人々を護るために、『法術』という術を用いてホラーと戦っていた。が、魔戒法師達の法術だけでは低級ホラーはともかく上級ホラーに対する決定打にはならなかった……』
『その上級ホラーに対抗するために生まれたのが屈強な肉体と精神を持ち、ホラーにダメージを与えられる『ソウルメタル』という特殊な金属で造られた鎧と武器で武装した魔戒騎士だ。そして、魔戒騎士が誕生してからは魔戒法師は魔戒騎士のサポートをするようになったらしい。』
「え~と、つまり魔戒騎士と魔戒法師はホラーのいる世界における仮面ライダーとその仮面ライダーのサポート役……みたいなものってことですか?」
『まぁ、そういう認識で間違いないと思うよ。』
「でも、そんな魔戒騎士と魔戒法師が何故、ホラーに……?」
『……彼らもまた『人間』だったということさ……』
首を傾げながらそう尋ねる月音に対し、スカリエッティは少しだけ哀しげな表情でそう言う。
「?どういうことですか?」
『君も仮面ライダーならわかるだろう?とてつもない悲劇に見舞われたことでダークライダーと呼ばれる存在に転身した者もいることを……』
『ジンガとアミリも、そういった悲劇をきっかけに『邪心』を抱き、ホラーと化してしまった二人なんだ。』
「ッ……」
そう言うスカリエッティとⅥ世の言葉に月音は苦い表情を浮かべる。
(確かに……大道克己も『財団X』や『ヴィレッジ』とのことがあったから、風都であんな事件を起こした訳だし……この二人もそういった事情を抱えている訳か……)
月音がそう思っているなか、今度は鬼神のようなホラー態のジンガと、背中から四本の節足を生やしたアミリの姿が空間モニターで映し出される。
「ッ……」
(別人だとはわかっていても、あまり気分の良いものじゃないな……)
「これはジンガとアミリがホラーとしての本性を現した姿だ。」
『ジンガは黒い魔戒剣を使った武器戦闘に蹴り技を織り混ぜた戦闘スタイルに加え、『ゲート』を生成しての空間移動能力と黒い炎を操る能力を持っている。』
『相方のアミリは背中の節足による攻撃に加え、魔戒法師次代から使っていた赤い魔導筆を使った術を得意としている。』
月音がそう思っているなか、シャトラとスカリエッティ、Ⅵ世の三人はそう説明する。
「なるほど……厄介な二人ですね……」
『更にジンガとアミリは『Xマジンラー』に加入してからは自らにTウイルスを投与することで再生能力を得ているようだ。』
『それも身体を真っ二つにされても復活するくらいにな。』
「ッ……」
(身体を真っ二つにされても復活するとかどんだけだよ……)
『更に厄介なことにジンガとアミリは今回、こんなものまで手に入れていた。』
ヴゥンッ!!
月音がそう思いながら険しい表情を浮かべるなか、スカリエッティはそう言いながら今度は『賢者の石』を空間モニターで映し出す。
「?これは……?」
「?」
映し出された『賢者の石』を見て、月音は首を傾げながらそう尋ね、りゅーきも同じように首を傾げる。
『これは『賢者の石』と云われる、生きたまま抽出させた人間の魂を凝縮させた高エネルギー体……』
『『等価交換』なしでの錬金術の行使を可能とする、錬金術の集大成にして『禁忌』とされる代物だ。』
「!?生きたまま抽出した人間の魂……っ!?」
スカリエッティとⅥ世の説明に月音は目を見開きながら『賢者の石』を見つめる。
「『Xマジンラー』はこんなものまで……っ!!」
『いや。ジンガとアミリに『賢者の石』を与えたのは今回の事件を主導しているソロモンだと思われる……』
『セレナが元いた世界の米国と云われる大国の国民を素材 にしたらしい……』
「ッ……」
スカリエッティとⅥ世からの更なる説明に月音は奥歯を噛みしめながら、怒りに震えながら拳を強く握りしめる。
『加頭について、わかっているのはここまでだね。』
「いや、それは良い、いや、良くはないけど、さっきのムテキゲーマーの姿は」
『次は今回の件にも関わっているこの二人だね。』
「え!?ちょっ」
ヴゥンッ!!
豆柴ムテキゲーマーのことについて、尋ねようとした月音をスルーして、スカリエッティは今度はジンガとアミリの二人を空間モニターで映し出す。
「!?」
次の瞬間、月音は空間モニターで映し出されたジンガとアミリを、特にジンガを凝視しながら固まる。
「?月音?」
『大丈夫かい?』
そんな月音に対し、シャトラとスカリエッティは首を傾げながらそう尋ねる。
が、月音は空間モニターに映るジンガから視線を外せずにいる。
「………」ピトッ
「!?」
そんな月音に対し、いつの間にか左肩に乗っていたりゅーきがその頬にピトッと触る。
「あっ……」
それによって正気に戻った月音はりゅーきの方を見る。
「りゅーき……ありがとうね……」
「………」ビシッ‼
月音からお礼を言われたりゅーきは『気にするな』と言わんばかりに片手を上げる。
「すいません。シャトラさん、スカリエッティさん。続きをお願いします。」
(大丈夫……似てはいるけど、あの人とは違う……)
月音はそう思いながら続きを促す。
『あぁ、彼らは男の方はジンガ、女の方はアミリと言って、『Xマジンラー』の幹部であり元魔戒騎士と元魔戒法師である怪人ホラーだ。』
そんな月音に対し、スカリエッティはそう説明する。
「「?」」
対する月音とりゅーきは首を傾げる。
『まぁ、知らなければ、そんな反応になるのは当然か……』
『ふむ。シャトラ君。彼女には何処まで説明してあるのかな?』
「ホラーが魔界から人間を喰らいに来る魔物であるということくらいですね。」
そんな一人と一体の様子にⅥ世がそう言うなか、そう尋ねるスカリエッティに対し、シャトラはそう答える。
『ふむ……なら、先ずはホラーについて、説明するとするか……』
ヴゥンッ!!
対するスカリエッティはそう言いながら、黒いガーゴイルのような姿のホラーが空間モニターで映し出される。
『これは低級ホラー。若しくは素体ホラーといって先程、シャトラ君が説明したように魔界……正しくは『真魔界』と呼ばれる異世界に多く生息し、『陰我』が宿った物体を『ゲート』にして人間界に人間を喰らいに現れる魔獣だ。』
「?陰我というのは?」
『ふむ……悲哀や憤怒、絶望等といった負の思念といえばいいかな……そういったものが強く宿ったものがホラーが人間界に渡るための『ゲート』になるんだ……』
「なるほど……」
『『陰我』を通って人間界に来たホラーは悪意に呼応して人間に憑依することで実体化する性質を持つ。』
『もっとも、『Xマジンラー』に所属しているホラーの大半は人間を依代にせず、『闇の力』によって実体化しているようだがな。』
ヴゥンッ!!
『陰我』についての説明に一先ず納得している月音にスカリエッティとⅥ世はそう説明しながら、今度は『ウェズぺリア』や『妖怪の国』で確認された上級ホラー、ムラドやゼラーザの姿を空間モニターで映し出す。
『人間に憑依して実体化したホラーはゲートとなった物や憑依先の人間の性質によって多種多様な姿・能力を得るらしい。これらはそうして生まれた上級ホラーだ。』
「つまりは上位個体ということですか?」
『まぁ、そういうことだね。』
『そんなホラーを討伐する役目を担っているのが魔戒法師と魔戒騎士だ。』
「はぁ……」
(なんで法師と騎士なんだ……)
『最初は魔戒法師が人々を護るために、『法術』という術を用いてホラーと戦っていた。が、魔戒法師達の法術だけでは低級ホラーはともかく上級ホラーに対する決定打にはならなかった……』
『その上級ホラーに対抗するために生まれたのが屈強な肉体と精神を持ち、ホラーにダメージを与えられる『ソウルメタル』という特殊な金属で造られた鎧と武器で武装した魔戒騎士だ。そして、魔戒騎士が誕生してからは魔戒法師は魔戒騎士のサポートをするようになったらしい。』
「え~と、つまり魔戒騎士と魔戒法師はホラーのいる世界における仮面ライダーとその仮面ライダーのサポート役……みたいなものってことですか?」
『まぁ、そういう認識で間違いないと思うよ。』
「でも、そんな魔戒騎士と魔戒法師が何故、ホラーに……?」
『……彼らもまた『人間』だったということさ……』
首を傾げながらそう尋ねる月音に対し、スカリエッティは少しだけ哀しげな表情でそう言う。
「?どういうことですか?」
『君も仮面ライダーならわかるだろう?とてつもない悲劇に見舞われたことでダークライダーと呼ばれる存在に転身した者もいることを……』
『ジンガとアミリも、そういった悲劇をきっかけに『邪心』を抱き、ホラーと化してしまった二人なんだ。』
「ッ……」
そう言うスカリエッティとⅥ世の言葉に月音は苦い表情を浮かべる。
(確かに……大道克己も『財団X』や『ヴィレッジ』とのことがあったから、風都であんな事件を起こした訳だし……この二人もそういった事情を抱えている訳か……)
月音がそう思っているなか、今度は鬼神のようなホラー態のジンガと、背中から四本の節足を生やしたアミリの姿が空間モニターで映し出される。
「ッ……」
(別人だとはわかっていても、あまり気分の良いものじゃないな……)
「これはジンガとアミリがホラーとしての本性を現した姿だ。」
『ジンガは黒い魔戒剣を使った武器戦闘に蹴り技を織り混ぜた戦闘スタイルに加え、『ゲート』を生成しての空間移動能力と黒い炎を操る能力を持っている。』
『相方のアミリは背中の節足による攻撃に加え、魔戒法師次代から使っていた赤い魔導筆を使った術を得意としている。』
月音がそう思っているなか、シャトラとスカリエッティ、Ⅵ世の三人はそう説明する。
「なるほど……厄介な二人ですね……」
『更にジンガとアミリは『Xマジンラー』に加入してからは自らにTウイルスを投与することで再生能力を得ているようだ。』
『それも身体を真っ二つにされても復活するくらいにな。』
「ッ……」
(身体を真っ二つにされても復活するとかどんだけだよ……)
『更に厄介なことにジンガとアミリは今回、こんなものまで手に入れていた。』
ヴゥンッ!!
月音がそう思いながら険しい表情を浮かべるなか、スカリエッティはそう言いながら今度は『賢者の石』を空間モニターで映し出す。
「?これは……?」
「?」
映し出された『賢者の石』を見て、月音は首を傾げながらそう尋ね、りゅーきも同じように首を傾げる。
『これは『賢者の石』と云われる、生きたまま抽出させた人間の魂を凝縮させた高エネルギー体……』
『『等価交換』なしでの錬金術の行使を可能とする、錬金術の集大成にして『禁忌』とされる代物だ。』
「!?生きたまま抽出した人間の魂……っ!?」
スカリエッティとⅥ世の説明に月音は目を見開きながら『賢者の石』を見つめる。
「『Xマジンラー』はこんなものまで……っ!!」
『いや。ジンガとアミリに『賢者の石』を与えたのは今回の事件を主導しているソロモンだと思われる……』
『セレナが元いた世界の米国と云われる大国の国民を
「ッ……」
スカリエッティとⅥ世からの更なる説明に月音は奥歯を噛みしめながら、怒りに震えながら拳を強く握りしめる。
39/39ページ