目を逸らしていたもの

ナカムラ家、食堂・・・

『では、ウイルスとナノマシンについての説明は、これで大丈夫かい?』

「はぁ……ウイルスとナノマシンについてはわかったんですが……これらの他に『闇』も含まれているという話でしたが、そもそも『闇』とは何ですか?アギトの『闇の力』とはまた違うみたいですが……」

場面は戻り、食堂にて、通信モニター越しにそう確認するスカリエッティに対し、月音はそう答えながら『闇』について、そう尋ねる。

『それについてはシャトラ君の方が詳しいんじゃないかな……』

対するスカリエッティはそう言って、シャトラに話を振る。

月音も改めてシャトラに視線を向ける。

「……まだ明白に解明されている訳ではないが、人間ヒトの心の『負の感情』が濃くなることで生じるエネルギーだ。このエネルギーは基本、『呑み込んだものを『消滅』させる』性質を持ち、時には他者の心をむしばみ凶暴化させる性質も持っている……」

対するシャトラは難しい表情を浮かべながらそう説明を始める。

「そして、この『闇』を完全に支配した者、所謂いわゆる『魔王』とでもえる存在に至った者は他の『闇』に染まった者を配下にし、操ることができる……『Xマジンラー』はそうしてできた組織とも云えるな……」

「なるほど……先程のダーカー因子となんか似てますね。」

「そうだな……効果が似通ってる分、侵食するチカラが増幅されている。その上、構造も複雑化しているから我々、『神龍』ですら即座に解毒できなくなっているのが現状だな。」

説明を聞いた後、そう言う月音に対し、シャトラは苦い表情でそう言う。

「?神龍?」

そんなシャトラが口にした『神龍』という単語に対し、月音は首を傾げながらそう言う。

「「?」」

いつの間にか戻ってきていたりゅーきと、彼を乗せているどらぐれっだーの二体も同じように首を傾げる。

「この世の全ての始まりとされる『創世龍』……その血を受け継ぎ創世期時代、世界を護ろうとした存在が神龍。現在では、その因子が様々な生き物に散りばめられ、NSの覚醒を繰り返した先に至るのが『神龍化』なんだ。」

「え~と……つまり、シャトラさんやフェイトさんはその神龍の子孫……ってことですか?」

対するシャトラからの説明に、月音は(´◎-◎`)な状態になりながらそう尋ねる。

「創世記は遥か昔だからな。ほとんどの生物種に宿っていると考えられている。私と姉さん達は神龍化に至っているが、私と血が繋がっているのはカオリ姉さんだけだ。」

「は、はぁ……」

「うーん……あ。アレだ。わかりやすく言えば、アギトのようなものだ。」

「あ。なるほど……」

『神龍化』について、アギトに例えたシャトラの説明に月音は即座に理解する。

「?」

「………」

りゅーきは未だに首を傾げるなか、どらぐれっだーはひっそりと鏡面へと入っていく。

(帰っていった……)

その一部始終を見てシャトラがそう思っているなか、月音は未だに首を傾げるりゅーきを抱っこし撫で始める。

「あぁ……デスガン並びに『神龍化』についての説明はこんな感じで良いか?」

「あ。はい。大丈夫です。」

そんななか、確認してくるシャトラに対し、月音はそう答える。

「じゃあ、次はこいつについて、話すか……」

ヴゥンッ!!

対するシャトラはそう言いながら、今度は加頭の姿が映し出された空間モニターを展開する。

「!?加頭順……生きていたのか………」

「やはり知ってはいたか………」

「はい。ガイアメモリの開発元である『ミュージアム』のスポンサーで財団Xのエージェントですよね?」

「あぁ。今は『Xマジンラー』のエージェントであり、幹部の一人だ。」

真剣な表情でそう言う月音に対し、シャトラも真剣な表情でそう言う。

「その存在が確認された当初は奴はユートピアドーパントとして『ウェズぺリアこの世界』で暗躍していた……が、程なくして仮面ライダーの“力”を手に入れた………」

ヴゥンッ!!

シャトラがそう言いながら、続けて加頭が変身していたダークエターナル・アームドユートピアを映し出した空間モニターを展開した。
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