目を逸らしていたもの

「……ニューシードというものが無くともソロモン因子で怪物化、さらには破壊衝動によって生物兵器として、投与された者の周りを損傷や壊滅させることを目的としても使える…か」

「?月音?」

『大丈夫かい?』

そんなスカリエッティの説明を聞いた後、真剣な表情でそう呟く月音に対し、シャトラとスカリエッティは首を傾げながらそう尋ねる。

「あ、いえ……そういえば、ナカムラもそのニューシードが使えるんですか?ディリンクに変身した私を相手に、武装があったとはいえ生身でめちゃくちゃ食いついてきたし、ウィザードの拘束を破ったんですけど………」

対する月音は誤魔化しながら、学園での時のことについて、そう尋ねる。

「察しの通り、ノゾミは非常に高いNS能力を持っている。尤も、精神の幼さと相まって荒さが目立つがな………」

「幼い精神……ですか……」

(誤認識して錯乱状態だったとはいえ、こっちはガチで殺されかけたんだけど………)

「?月音?どうかしたか?」

ノゾミに危うく頸動脈を切られかけた時のことを思い起こしながら青ざめる月音に対し、シャトラは首を傾げながらそう尋ねる。

「いえ。なにも………話が変わるんですが、ナカムラは何故、ディケイド…門矢士のことを憎んでいるんですか……?」

(あの時のナカムラ、明らかに普通じゃなかった……)

「あぁ……まぁ、その……その門矢士とは色々とあったらしいから………」

「はぁ……」

(マジであの子に何やらかした?あの人は……)

若干歯切れが悪そうにそう答えるシャトラの答えに、月音は密かにそう思った。
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